NECが地域金融機関と創出する新たな価値
日本の地域金融機関が抱える課題に対して、技術革新が求められています。NECは2024年7月に地域金融機関と共に「地域金融機関 生成AI共同研究会」を設立し、15社の金融機関と共に、生成AIの実施に向けた取り組みを進めてきました。その活動がこの度、ホワイトペーパーとして公表されました。この研究会の目標は、共同での検証や知識の共有、人材の育成を通じて、地域金融機関の競争力を高めることにあります。
研究会の概要
研究会の活動は7か月にわたり、協力する金融機関と共に、さまざまなテーマでの検証を実施しました。特に、生成AIを活用したユースケースに基づく実証が数多く行われる中、金融業界でもこの技術の導入が急がれています。
共同検証のテーマ
研究会では、以下の3つの主要テーマでの検証を行いました。
テーマ1: 融資稟議に関する検証
1.
財務分析の支援
財務データを基にした分析支援のモデルを構築し、実際のデータを用いてその精度を検証しました。これにより、財務状況を正確に把握し、適切な融資判断ができることを目指します。
2.
稟議書文案の作成
融資決定に必要な文書作成を支援する目的で、生成AIを用いて効率化を図りました。結果的に稟議書作成の時間を大幅に短縮することに成功しました。
テーマ2: 預かり資産販売に関する検証
3.
営業トークスクリプトの作成
顧客とのコミュニケーションを円滑にするために、生成AIを活用して効果的な営業スクリプトを作成しました。
4.
ネクストアクションの精緻化
販売プロセスにおける次のアクションを明確にし、顧客満足度を向上させる施策の検証を行いました。
テーマ3: プロンプトエンジニアリングの検証
このテーマでは、生成AIを活用するためのプロンプトの設計や、エンジニアリング手法に関する検討を実施しました。これにより、生成AIの活用がさらに拡大することを期待しています。
松尾豊教授からのエンドースメント
ホワイトペーパーの公開に際し、東京大学の松尾豊教授から以下のコメントをいただきました。
「この研究会の意義は、複数の金融機関が組織の枠を超えて共同で生成AIの活用に取り組んでいる点であり、各金融機関が持つ知見と経験を共有し、互いに学び合うことができる有意義な活動だと思います。本研究会での検証結果を業務に活かすことはもちろん、参加された方々が『先駆者』となってイノベーションを生み出していくことを期待します。」
まとめ
NECと地域金融機関との共同研究会は、金融業界における生成AIの利用促進と知見の共有を目指しています。新たな技術を取り入れることで地域経済の発展に寄与し、地域金融の未来を切り開くことを期待してやみません。ホワイトペーパーの詳細は、関連リンクからダウンロード可能です。