日本初のロボット支援大動脈弁置換術
2023年10月31日、東京都杉並区に位置するニューハート・ワタナベ国際病院の医師チームが、日本国内初のロボット支援による大動脈弁置換術を成功させました。この手術では、70代の男性患者にスーチャーレス生体弁であるPerceval(パーシバル)を使用しました。
スーチャーレス生体弁とは?
スーチャーレス生体弁は、縫合糸を使わないため、手術が従来のものよりも簡便に行えます。この特徴により、体への負担が軽減され、傷口も小さく済むのが大きな利点です。2018年からは厚生労働省による保険適用も開始され、現在も多くの医療機関で用いられています。当院でもこの弁を選択肢として導入しており、手術支援ロボットの使用により、さらなる手術の効率化が期待されています。
2024年6月にはロボット弁置換術も保険適用となる見込みで、今後の普及が期待されています。
大動脈弁狭窄症とその影響
大動脈弁狭窄症は心臓の弁の疾患で、主に石灰化などにより弁が狭くなります。初期には無症状のことが多いですが、進行すると突然死の危険もあり、早期の手術が求められます。スーチャーレスによるアプローチは、治療の効果を高める可能性が高まります。
手術の利点
1.
小さな傷口: 手術支援ロボットは従来の侵襲的な手術方法に比べ、体に優しく、傷口が小さくなるため身体への負担が軽減されます。
2.
完全な弁の除去: 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)とは異なり、外科的に悪くなった弁を完全に除去することが可能です。これにより、より大きな弁口の面積を確保できます。
3.
手術時間の短縮: スーチャーレス生体弁は縫い付ける必要がないため、手術中の時間を大幅に短縮し、患者にかかる身体的負担も抑えられます。
ニューハート・ワタナベ国際病院の背景
ニューハート・ワタナベ国際病院は、ロボット手術の分野で先駆的な役割を果たしてきた医療機関です。2022年にはロボットによる複合弁手術にも成功し、心臓病に苦しむ患者の救済に努めています。病院総長の渡邊剛医師は、ロボット手術が保険適用となったことで、より多くの患者に質の高い治療を提供したいと語っています。
主治医である小圷徹医師も、「患者一人ひとりに最適な治療法を提供したい」と情熱を持って日々診療に当たっています。
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