花粉症改善への新たなアプローチ
日本は花粉症に苦しむ人々が多く、特にスギ花粉症は国民病として知られています。株式会社LABバイオテックが、乳酸菌株KB1とシソ由来ポリフェノールを併用することで、花粉症の症状を軽減する新たな研究成果を発表しました。この研究では、北海道大学との共同で、スギ花粉症モデルマウスを用いてその効果を実証しました。
研究の背景
2019年に実施された調査によれば、日本における花粉症の有病率は約42.5%に達し、スギ花粉症は38.8%にも上ります。これにより、3人に1人以上が何らかの花粉症を抱えることになります。乳酸菌Pediococcussp. KB1株は北海道の白カブから得られたもので、かつては強力な免疫賦活作用が示唆されていましたが、アレルギーに対する効果は未検証でした。そこで、ロスマリン酸というシソ科植物由来のポリフェノールと組み合わせ、実験を行ったのです。
研究方法
本研究では、スギ花粉の主要アレルゲンCry j1に感作された5週齢のBALB/cマウスを2つの群に分け、KB1とロスマリン酸、それぞれの単独投与と併用投与を行いました。一連の実験ではマウスの行動や脾臓における免疫関連遺伝子の発現量を測定しました。
研究結果
実験の結果、KB1とロスマリン酸を併用したマウスは、くしゃみや鼻掻き行動が顕著に減少しました。特に併用した場合の効果が単独投与よりも強力であることが明らかになりました。また、IFN-γやIL-10、Foxp3といった免疫関連遺伝子の発現がいずれの群でも増加し、併用によってその効果がさらに高まったことが示されました。これにより、乳酸菌とロスマリン酸が合わせてアレルギー症状を抑制することが確認されたのです。
今後の展望
LABバイオテックは今回の研究成果に基づいて特許出願を進めており、今後はポリフェノールを使用している食品メーカーなどに提案を行う予定です。また、KB1株のアレルギー抑制効果のメカニズムをさらに探究し、他のポリフェノール類との組み合わせについても研究を続ける方針です。現在、乳酸菌KB1株は同社のクラーク乳酸菌プレミアムに使用されています。
学会での反響
2024年11月6日から8日に横浜で開催される第97回日本生化学会大会でも、この研究成果が発表される予定です。学会では、熱心な議論が交わされ、乳酸菌分野への関心の高さが示されました。研究者は、今後の研究にも今回の成果を最大限に生かしていくことを誓っています。
花粉症の改善を目指すこの新たなアプローチが、より多くの人々の生活の質を向上させる期待が寄せられています。今後の研究結果に注目が集まる中、LABバイオテックの取り組みには大いに期待が寄せられています。