老朽化したインフラ施設の監視に貢献!芝浦工業大学が光ファイバーセンサーの精度向上を実現
社会問題となっているインフラ施設の老朽化や地震被害。これらの問題を解決するために、光ファイバーセンサー技術が注目されています。光ファイバーセンサーは、施設内に埋め込まれた光ファイバーを通じて、ひずみや温度の分布を測定することで、施設の健全性を監視することができます。
芝浦工業大学(東京都江東区)の研究チームは、光ファイバーセンサーの重要な性能指標である「空間分解能」を正確に推定する新手法を開発しました。これは、施設の状態をより詳細に把握し、早期の対策につなげることに貢献する画期的な技術です。
光ファイバーセンサーの空間分解能向上とは?
光ファイバーセンサーは、光ファイバー内部で発生する「ブリルアン散乱」を利用して、ひずみや温度の分布を測定します。ブリルアン散乱は、光ファイバー中の音響波によって生じる光の散乱現象です。この散乱光を分析することで、ひずみや温度を推定することができます。
研究チームが開発した新手法は、光ファイバーセンサーの一種である「ブリルアン光相関領域反射計(BOCDR)」に焦点を当てています。BOCDRは、従来の高価な装置や複雑なシステムを用いずに、レイリー散乱を利用することで、光源の変調振幅を間接的に測定することが可能になりました。変調振幅は、空間分解能に大きく影響するため、これにより、BOCDRの空間分解能を正確に推定することができるようになったのです。
社会課題の解決へ貢献する期待
この技術は、老朽化したインフラ施設や、地震などの災害を受けた施設の健全性診断を効率的に行う上で非常に有効です。従来よりも詳細な情報を得ることが可能になるため、早期の対策や、より安全なインフラ整備につながると期待されています。
今後の展望
研究チームは、この技術をさらに発展させ、BOCDRの空間分解能を向上させ、より高精度な測定を実現することを目指しています。また、様々な環境や用途に合わせた光ファイバーセンサーの開発にも取り組んでいく予定です。
芝浦工業大学について
芝浦工業大学は、東京都と埼玉県にキャンパスを構え、理工系大学として日本屈指の学生海外派遣数を誇るグローバル教育と、産学連携の研究活動が特徴です。2027年には創立100周年を迎え、アジア工科系大学トップ10を目指しています。