新技術がPM2.5と黄砂を徹底分析
2024年8月22日と23日に東京ビッグサイトで開催される「大学見本市2024~イノベーション・ジャパン」において、工学院大学の坂本哲夫教授が開発した新しい分析技術が注目を集めています。この技術は、PM2.5や黄砂と呼ばれる微小粒子の成分や同位体を個別粒子単位で画像化することに成功したもので、環境問題の解決に向けた大きな一歩となり得ます。
坂本教授は応用物理学科の教授であり、質量顕微鏡装置の開発を手掛けています。これまでの技術では、微小粒子の成分を特定することは難しく、特にPM2.5のような微細な粒子の解析には限界がありました。しかし、彼の研究により、粒子一つ一つの成分を視覚化し、特定できる可能性が広がりました。
黄砂の成分分析
九州地方で採取した黄砂粒子の分析によれば、黄砂は中国大陸から風に乗って飛来し、途中で都市や工業地帯を通過するため、PM2.5や排ガス成分が表面に付着していることが証明されました。これまでの電子顕微鏡では成分の特定が難しかった粒子も、新しい装置を使用することで、Si、Ca、Tiといった元素の特定が可能になりました。
表面には硫酸塩やスス、鉛などが含まれており、これまでの常識を覆す重要な知見が得られています。これにより、大気中の粒子がどのようにして人間や環境に影響を及ぼすかを理解する手助けとなるでしょう。
発生源の特定
PM2.5粒子の発生源は多岐にわたりますが、工場の排ガスや火力発電所、自動車、船舶などが含まれます。しかし、個別の粒子についてその成分や同位体を明確に分析することは従来は困難でした。坂本教授の研究は、細く絞ったイオンビームと波長可変レーザーを駆使して、個々の粒子の無機・有機成分を取得し、画像として可視化します。この方法により、同位体比の違いから発生源をさらに特定することが可能になります。
特に、気候変動に影響を与える大気微粒子に関しては、粒子の詳細な情報を得ることができれば、より具体的な対策を立案する手助けとなるでしょう。実験においては、レーザーを利用することで同位体分析の精度を大幅に向上させることにも成功しています。
大学見本市での展示
大学見本市では、分析装置の実物を持込むことができないため、主に波長可変レーザーの実機を展示し、その機能を解説します。さらに、動画による説明を通じて、企業との製品化や技術協力についてのディスカッションを図ります。また、電池や半導体など他分野での利用法も紹介します。
出展情報
- - 展示タイトル: PM2.5粒子の同位体識別個別粒子イメージング分析装置
- - 進捗レベル: 製品・商品化フェーズ
- - 分野: カーボンニュートラル・環境
- - ブース番号: C-075
- - プレゼンテーション日時: 8月22日(木)11:56-12:01プレゼン会場A
まとめ
この新しい技術は、環境問題に対する理解を深め、具体的な改善策を講じるための手助けになることでしょう。参加者は企業の技術開発担当者や営業、経営者など幅広い層となっており、オープンイノベーションの強化が期待されています。授業料無料のこの機会を活かして、最新の環境技術に触れてみてはいかがでしょうか?