植物病原菌センサーの進化
2024-08-02 05:56:22

岡山大学が解明した植物病原菌感知センサーの進化の過程と期待される効果

岡山大学が植物病原菌感知センサーの進化を解明



2024年8月2日、岡山大学は、植物が持つ病原菌を認識するためのセンサー、NLR型免疫受容体の進化の過程を解明したと発表しました。この成果は、特に重要な穀物であるイネが抱えるいもち病菌に対する抵抗力を高めるための基盤となるものです。

研究の背景


植物は、病害虫から身を守るために強力な免疫システムを進化させてきました。その中でも、NLR型免疫受容体は、病原体を認識し、防御反応を引き起こす役割を担っています。岡山大学の資源植物科学研究所の河野洋治教授は、中国科学院との共同研究を通じ、これらの受容体がどのように進化してきたのかを探求しました。

研究の成果


研究チームは、NLR型免疫受容体の遺伝子が遺伝子重複によって二つに分かれ、一つが病原菌を感知する「センサー」としての役割を果たし、もう一つが免疫反応を引き起こす「免疫誘導」の機能を持つことを発見しました。これにより、これら二つの受容体が協力して病害に立ち向かう仕組みが構築されていることが明らかになりました。

今後の期待


この研究成果は、2024年5月30日に科学誌「Nature Communications」に発表されたもので、植物病原菌に対する新たな防御戦略の構築に寄与することが期待されています。さらに研究を進めることで、異なる種類のいもち病菌に対して一つの免疫受容体で効果的に抵抗できる「人工免疫受容体」の開発が視野に入っています。この技術は、イネだけでなく、最近いもち病が広がりつつあるコムギにも応用できる可能性があります。

重要性とその影響


これらの成果は、食料生産を脅かす病気への抵抗力を高めるための新しいアプローチを示しており、農業の持続可能性を高める重要な一歩となるでしょう。農作物の生産性を向上させることは、世界中の食糧安全保障に直結する課題であり、太陽系の一員として私たちの食の未来を守るためには、このような研究が不可欠です。

岡山大学は今後も持続可能な開発目標(SDGs)に貢献しつつ、地域と地球の未来に向けたさらなる研究を進めていく方針です。研究の成果をもとに、イネやコムギの生産において病害虫からの防御強化に寄与することが期待されています。


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会社情報

会社名
国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

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