AIトレーナーの急成長とグローバル採用動向の変化を探る
グローバル人材採用の新たなトレンドを示す2025年の「State of Global Hiring Report」が、Deelから発表されました。このレポートは、150カ国以上から収集されたデータを元に、企業の採用活動における重要な変化を明らかにしています。特に注目すべきは「AIトレーナー」という新しい職種の急増です。
AIトレーナーという新たな職業の台頭
報告によると、AIトレーナーはAIのモデル学習とデータ評価を担当する専門家で、2年前には存在しなかった職種が現在では600以上の組織で7万人以上が活動しています。2025年には、AIトレーナーの越境採用が前年比283%増となる見込みで、Deelのプラットフォーム上で最も成長率が高い職種となっています。そのほとんどが米国に集中していますが、日本に拠点を置くAIトレーナーはわずか0.5%に過ぎず、時給は中央値で16ドルという結果が出ています。
この新しい職業に関しては、報酬の二極化も明確で、30%が15〜20ドルのアノテーション作業を行い、6%が100ドル以上の専門職に従事しています。男女賃金格差もあり、米国において男性の給与中央値が50ドルであるのに対し、女性は30ドルとされています。この要因には専門分野における偏りが原因と考えられています。
スタートアップの海外採用事情
次に、スタートアップ業界における海外採用の動向が興味深いです。2020年から2025年までに創業し、1億ドル以上の資金を調達した約100社のスタートアップを分析した結果、彼らはコスト削減を重視するのではなく、専門的な人材を確保することに重点を置いていることが分かりました。主な採用国としては、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、スペインなどが挙げられています。
特にソフトウェア開発者やテック営業、ビジネス開発担当者など、営業・マーケティング系の職種が多く、ローカル市場の知識が求められることから、依然として海外からの人材獲得が重要視されています。日本では、米国、英国、シンガポールが採用される国の中でも上位に位置しており、特にソフトウェア開発者のニーズが高まっています。
リモートワーカーの都市部回帰
また、パンデミック期間中に大都市から離れていたリモートワーカーが、徐々に都市部に戻りつつあるという傾向も観察されています。主要都市から国外居住者の平均距離は2022年から年々短縮しており、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどの都市への距離は2021年の水準まで回復しています。ロンドンやパリでも同様の動きが見られます。
通貨ホッピングの広がり
インフレーションが高い国々では、労働者が自国通貨でなく米ドルやステーブルコインで報酬を受け取るケースが増加していることも注目に値します。特にアルゼンチンやボリビアでは、自国通貨よりもドルを選択する契約者が多く、経済の影響を強く受けていると言えます。スティーブルコインの利用も、韓国やトルコ、ベトナムなどで広がりを見せている状況です。
日本市場への示唆
特に日本においては、AIトレーナーの人材がまだ少なく、今後の人材確保や育成が重要なテーマになることが示されています。AIの導入が企業競争力を左右するとされる中、日本の企業は国内における人材育成だけでなく、グローバルな人材プールを活用した採用戦略を必要としています。AIトレーナーに加えてリーガル・ケースマネージャーや医療事務アシスタントなどの職種も成長を見せており、今後の市場展開が期待されます。
このように、グローバル採用の新たな潮流とともに変化する労働市場の状況を見据えた戦略が求められています。詳しいレポートの全文はDeelの公式サイトにてご確認いただけます。