革新カーボン素材の量産へ向けた新たな試み
株式会社3DCは次世代カーボン素材「Graphene MesoSponge®(GMS)」の開発・製造・販売を手がける会社で、今回、愛知工業大学の糸井弘行准教授との共同研究を発表しました。この研究は、2024年6月を目標に高品質な導電助剤用GMSの安定生産体制を確立することを目的としています。
GMSの特性と期待される効果
GMSはリチウムイオン電池や次世代の蓄電・発電デバイスの電極に使用される新しい炭素材料です。この素材は柔軟性、導電性、多孔性、耐食性などの特性を持ち、従来の電池技術における「容量向上のためには他の特性が犠牲になる」という課題を解消する可能性を秘めています。
3DCはすでにGMSを導電助剤向けに改良し、ラボレベルからのベンチスケール生産に取り組んでいます。今後数年以内にこの素材を大量生産し、広く社会に提供する計画です。
共同研究の背景と目的
共同研究の開始にあたり、3DCのGMSの品質を確保しつつスケールアップを実現する方法が重要視されています。具体的には、GMSの構造評価や電気化学的評価を丁寧に行い、そのデータを基に生産過程を改善する必要があります。これには愛知工業大学の技術を活用し、より効率的なプロセス設計を図ることが狙いです。
糸井准教授は、炭素材料に関する専門知識を有し、これまでの研究成果として「新規炭素複合材料の合成や評価」に取り組んできました。この共同研究により得られる知見は、電池技術の革新に寄与することでしょう。
共同研究の具体的な進め方
この共同研究では、3DCが製造した導電助剤用GMSを愛知工業大学に提供し、大学内で構造解析や電気化学的測定を行います。これにより、GMSの特性や性能について多角的な評価が可能となり、得られたデータを基に3DCの生産プロセスに改善を施すサイクルが確立されます。
具体的な解析手法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた構造の評価が行われ、さらにGMSを用いた電極の性能試験も実施されます。
共同研究の成果予測
この共同研究による期待される成果は、GMSの高品質な導電助剤の早期量産を実現し、導電助剤市場における普及を加速させることです。これにより、電池技術の進化が進み、持続可能な社会の実現に向けた一助ともなるでしょう。
また、大学側にとっても新たな材料分析・評価が行われることで、研究活動の活性化や新しい発見が促されることが期待されています。
3DCについて
3DCは2022年に設立されたベンチャー企業で、「クリーンエネルギーを100年先の世界に届ける」というミッションのもと、GMSの量産化を目指しています。これまで多くの事業会社と連携し、次世代電池の性能向上に寄与する取り組みを進めています。特に、GMSは単なるリチウムイオン電池に留まらず、今後の全固体電池などの新技術への応用も期待されています。
さらに、3DCは今後の事業拡大に向けて複数のベンチャーキャピタルから資金調達を行い、環境に配慮した持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速しています。
最後に
事業の目的であるカーボンニュートラルを実現するため、3DCは今後も革新的な材料開発に努めてまいります。そして、愛知工業大学との連携によりGMSの可能性を最大限に引き出し、未来の電池技術の進化をリードしていくことでしょう。