高品質人工血小板の連続製造プロジェクトが始動
埼玉県戸田市に本社を持つ佐竹マルチミクス株式会社は、この度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「経済安全保障重要技術育成プログラム」において、高品質人工血小板の連続製造プロジェクトに参画することが決定しました。このプロジェクトは、多くの研究機関と企業が連携し、破損や外傷による血液供給の不足を解消することを目指しています。
プロジェクトの背景
感染症の流行や自然災害、その他の突発的な事態が発生した際、迅速かつ安定的な血液製剤の供給が求められます。現在の供給は主に献血に依存していますが、少子高齢化が進む日本では、今後の血液製剤の安定供給が大きな課題となるでしょう。新プロジェクトの目標は、自律的に止血機能を持つ人工血小板を開発し、全ての患者に対応可能なユニバーサルな血小板の実現です。
技術提案の概要
このプロジェクトに参加する佐竹マルチミクス株式会社は、高効率生産プロセスの確立を目指して研究開発を行います。具体的には、以下のような方向性が設定されています。
- - iPS細胞由来血小板の安定大量生産:シングルユースバイオリアクターやシングルユースバッグを活用し、効率的な製造を目指します。
- - 多機能連続培養システムの実用化:人工血小板の高効率かつ安定した製造のため、先進的な培養技術を導入します。
- - 治験生産に向けたバリデーション:各プロセスの専門知識を持つ研究機関と共に、実用化に向けた厳格な検証を行います。
なお、過去の研究で確認された血小板産生効率に関する問題にも注目し、CFDシミュレーションを通じて、効率を改善する新型の専用バイオリアクターの開発が進められています。このバイオリアクターは、スケールアップにおいても生産効率を高めることが期待されます。
コンソーシアムの構成
このプロジェクトには、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)を中心に、キヤノン株式会社やMinaris Regenerative Medicine株式会社、東京慈恵会医科大学、千葉大学、山梨大学など、多岐にわたる専門機関が参画しています。これにより、各機関の強みを活かし、より実用的な技術開発を進めることが狙いです。
事業の今後
この事業は、2024年度から2028年度を予定しており、総売上は50億円規模と見込まれています。特に、有事の際に必要とされる止血製剤製造の技術が、未来の医療の確保に大きく寄与することが期待されています。今後も、各機関はさらに緊密に協力し、より高品質な治療用血小板の供給に繋がる研究を続けていくでしょう。
詳しい情報については、佐竹マルチミクス株式会社の公式サイトで確認できます。