京都大原記念病院での実証試験
株式会社INOMER(イノマー)が脳卒中による片まひ者を対象に、着るロボット「プロトH」の実証試験を京都大原記念病院で行いました。この実証試験は2024年の6月から7月にかけて実施され、患者の日常生活における基本的な動作群(ADL)における向上や、理学療法士の負担の軽減を目指しています。
実証試験の概要
今回の実証試験では、60代女性と70代男性の2名の被験者に対し、週に3回、1回40分の訓練を3週間にわたり実施しました。その結果、以下のような改善効果が確認されました。
- - 運動系ADLの指標であるmFIMの向上
- - 体幹機能の改善
- - 30秒間の立ち上がり回数の増加
- - バランス機能の向上
- - 歩行速度の改善(10m歩行テストにおいて)
- - 歩行距離の大幅な延長(6分間の歩行での評価)
これらの結果は、脳卒中による片まひ者にとって大きな希望の光です。患者の方が日常生活をより自立して送ることができるようになることが期待されています。
プロトHの特長とは?
INOMERが開発した「プロトH」は、脳卒中や大腿骨近位部骨折などのリハビリテーションを目的としたウェアラブルロボットです。この装置は、理学療法士による徒手介助からモーターとワイヤーによるアシストに移行することで、リハビリの質を向上させることを目的としています。
特に、立ち上がりやバランスの改善が求められる患者に対して、股関節の伸展をサポートする機能が重要です。理学療法士のコメントでは、装着が簡便であり、動作の成果を評価しやすいとの声が寄せられています。また、長下肢装具を使用したままでも利用できるため、様々な症状に対応することが可能です。
理学療法士の意見
実際に「プロトH」を使用した理学療法士は、患足が踏ん張りやすくなり、特に歩行速度と歩行距離の改善を実感していると述べています。歩行時に重要な「立脚期」の長さを確保することで、より自然な歩行ができるようになり、患者の自立を助けると期待されています。
今後の展望
INOMERは今回の実証試験の成果を受けて、歩行リハビリテーションの質をさらに高める製品化に取り組んでいるとのことです。7月28日には「第36回大阪府理学療法学術大会」において、実際に体験できる展示を行う予定です。興味のある方はぜひ足を運んで、その効果を実感してみてください。
参考情報
- - 実証試験の開催日: 2024年6月~7月
- - 大阪府理学療法学術大会: 2024年7月28日、対面・Webのハイブリッド形式
- - 京都大原記念病院の情報: 詳しくは公式サイト490908
- - 株式会社INOMERの情報: 詳細は公式サイトご覧ください。