最近の調査によると、上場企業の法務部門におけるAI導入率が89.8%に達したものの、実際に「うまく使いこなせている」と認識しているのは32%に過ぎないという結果が発表されました。この状況は、AI技術が急速に進化している中で、法務業界が直面している実際の課題を浮き彫りにしています。
MOLTON株式会社が行った「法務部門AI活用実態調査2026」では、206名の法務担当者が対象となり、その結果が公表されています。調査では、AIが契約審査、法律リサーチ、議事録作成など、幅広い業務で活用されていることが確認されました。しかし、経営層と一般の業務担当者との間で認識のズレが大きいことも明らかになりました。
具体的には、経営層の71%が「業務作業が早くなった」と感じている一方で、一緒に仕事をしている一般社員の中では49%に留まっています。この差は、経営層がAI導入によって得た手応えが、実際の業務に従事する社員には届いていないことを示しています。また、41%の人が「AI導入後に業務負担が増えた」と応じており、ことさらに、AI出力を手直しするのに10分以上かかると答えたのが52%に達しました。
さらに、一般社員が感じるAI活用の問題点としては、「プロンプトの出し方がわからない」というスキルの壁や、「AIが誤情報を出すのが不安」「自社特有のルールに合致しない」という信頼性に関わる懸念が挙げられました。
このように、法務部門においてはAIの導入が進んでいるにも関わらず、実際の活用には様々な壁が存在することが示されました。特に契約審査や法律リサーチといったコア業務においては、AIの活用がまだまだ不十分であり、専門性が求められるため、汎用AI技術がその範疇に及びきれていないとも考えられます。
また、法務部門に特有の課題として、「法改正や最新判例がリアルタイムで反映されていない」という問題や、「社内のAI使用ルールが曖昧で、使いにくさを感じている」という指摘も、多くに共通して見られました。これらの課題を解決していくためには、精度やガバナンスの面で早急な対応が必要だと結論づけられています。
この調査の詳細はMOLTONが公開したホワイトペーパーにまとめられており、法務部門でのAI活用に関して悩みを抱える企業向けの個別相談も受け付けています。このホワイトペーパーは、法務部門におけるAI利用実態を理解する上での貴重な資料となることでしょう。
法務業界の現状と未来を展望するためには、このような調査結果をもとに、どのようにしてAI技術を適切に活用し、業務の効率化につなげていくかが重要です。法務部門の担当者はもちろん経営層の皆様も、今後のAI活用に向けた知識と戦略を再考する時期に来ているのかもしれません。