再生医療の新展開
2024-08-22 19:30:32

ヤマトヒメミミズの再生能力研究がもたらす未来の医療の展望とは

ヤマトヒメミミズの再生能力研究がもたらす未来の医療の展望とは



最近、帝京大学の研究グループがヤマトヒメミミズにおける再生能力に関する重要な成果を発表しました。この研究の核となるのは、soxC遺伝子が、動物の器官再生を促進する役割を果たすことを示す発見です。この発見は、将来的な再生医療への応用が期待されており、特に人間における器官再生の新たな視点を提供しています。

研究の背景と経緯


帝京大学薬学部の山口真二教授と助教の藤田俊之氏らが主導したこの研究は、古くからその再生能力が知られている環形動物のヤマトヒメミミズを使用して行われました。環形動物は、切断された後に「再生芽」と呼ばれる組織を形成し、失われた器官を再生する能力を持っています。133年以上前に行われたオヨギミミズを使った研究から、再生芽にはどのような細胞が集まるのかはわからずにいました。この研究チームは、この重要な謎を解明するために新たなアプローチを試みました。

soxC遺伝子の発見


研究者たちは、無傷のヤマトヒメミミズと再生芽を形成した個体を比較し、soxC遺伝子が再生芽の形成に関与していることを発見しました。具体的には、soxC遺伝子がその発現を変化させ、再生芽を形成する際に重要な役割を果たすことが示されています。具体的には、RNA干渉技術を用いてsoxC遺伝子の発現を抑える実験を行った結果、再生芽の形成が阻害されることが明らかになりました。

さらに、ヤマトヒメミミズの切断端から再生芽が形成される過程を観察したところ、soxC細胞が次第に集積し、再生芽を構成する主な細胞であることが確認されました。そして、このsoxC細胞の動きを、ツメガエルのオタマジャクシにおいても確認することができ、ヤマトヒメミミズとツメガエルは共通の再生機構を持つ可能性が示唆されました。

再生医療への応用


この研究成果には特に再生医療への期待が寄せられています。ヒトを含む哺乳類は、肝臓を除いて高い再生能力を持たないと広く認識されていますが、soxC遺伝子はすべての哺乳類にも存在します。このことから、soxC細胞がもたらす再生機序を理解し、応用することで、新たな創薬や再生医療の道が開かれるかもしれません。例えば、soxC細胞の機能を利用して、傷が残らない治癒や、新たな器官の再生が実現することが期待されています。

研究の意義と今後の展望


本研究により、soxC遺伝子が再生芽形成において中心的な役割を果たすことが明らかとなり、動物種を超えた共通のメカニズムが提案されました。これによって、環形動物と脊椎動物の再生能力に関する理解が深まり、未来の医療に革新をもたらす可能性が高まっています。

この研究成果は、2024年8月22日(木)に「Nature Communications」誌に掲載予定で、医学や生物学の分野において非常に重要な意義を持つでしょう。再生医療の新たな視点が開かれることを期待しています。


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