2024年に注目される中国消費市場の最新トレンドとは?
2023年7月30日、東京で開催された「Douyin EC Global」のセミナーでは、中国の消費市場における最新のトレンドが共有されました。中国の人気動画プラットフォームである抖音(Douyin)が主催し、約300人の出席者が集まり、越境ECの魅力について学ぶ貴重な機会となりました。
このセミナーでは、まずNintの堀井良威氏が登壇し、今年の「618」セールに関するデータを詳しく解説しました。618セールは、中国のEC業界で非常に重要なイベントであり、毎年5月下旬から6月にかけて行われ、11月の双11と並ぶ大型セールです。堀井氏によれば、今年のセールでは、日本製品に対する買い控えが一巡したことや、高価格帯と低価格帯に二極化する「K型」消費が顕著であったことが指摘されました。
さらには、I-neの井垣純氏が越境EC成功のポイントを語り、同社のヘアケアブランド「YOLU」が中国市場での人気を集めていることを紹介しました。井垣氏は、Douyinを選択した理由としてショート動画やライブコマースの活用があり、これにより消費者をスムーズに誘導できる点を強調しました。彼の発表によると、中国市場では、髪の損傷ケアに対する需要が高まっており、売れ筋商品に関して日本のブランドをそのまま持ち込むのではなく、消費者のニーズに即した商品を開発することが必要であると述べました。
続いて、Douyin EC Globalの担当者であるSarah氏とHuang Yi氏が、越境ECの市場規模や特徴について詳しく説明しました。Sarah氏は、2022年の越境ECによる輸入額が5600億元に達し、これは2017年の約10倍と報告。さらに2025年には1兆3200億元に到達するという見通しを示しました。これに加えて、Douyin ECが中国の消費習慣を変革しており、ライブコマースの成功が消費者の購買意欲を高めていると強調しました。
また、日本市場の責任者であるHuang氏は、出店する際の費用について具体的に説明し、年間固定費がかからないことや日本ブランドの出店数が増加していることを強調しました。このような背景を受けて、多くの日本企業が新たな出店を目指すことが期待されています。
セミナーの後半では、資生堂子会社エフェクティムの小柳康祐社長が新規参入企業に向けたアドバイスを提供。彼は、越境ECの目的を明確にすることが重要であり、現地でのテスト販売や本社の在庫削減など、目的に応じたパートナーシップの重要性を強調しました。実際に資生堂が行ったライブコマースの成功例を引き合いに出し、COVID-19禍での販売戦略の重要性についても触れました。
最後に、抖音ECのクリエイターである周鉑涵氏が、自身の経験を基に中国市場での成功の秘訣を語りました。彼もまた、ライブコマースでの活動を通じて日本酒の人気が高まり、成功を収めるに至った経緯を紹介しました。
セミナーの終了後には、参加企業の中から9社が商談ブースを設け、参加者とのネットワーキングが活発に行われました。参加者同士の名刺交換や情報共有を通じて、新たなビジネスチャンスが広がる期待が感じられました。中国市場への進出を考える企業にとって、越境ECは今後ますます注目される戦略となるでしょう。
Douyin EC Globalについて
Douyin EC Globalは、日本企業が越境ECを通じて中国市場に進出するためのワンストッププラットフォームを提供しています。ブランドの成長を支援し、マーケティングから販売、そして収益化に至るまでのワンストップソリューションを提供する姿勢が高く評価されています。
36Kr Japanについて
36Kr Japanは、中国最大のスタートアップメディアである36Krの日本版を運営し、日本企業と中国企業とのビジネスマッチングサービスを提供しています。これにより、日本企業が中国市場で成功を収めるための支援を行っています。