TBSホールディングスへの株主提案がもたらす企業価値の見直し
2025年5月16日、カタリスト投資顧問株式会社が株式会社TBSホールディングス(TBS HD)に対して株主提案を行いました。この提案は、TBS HDが6月に開催する予定の第98期定時株主総会に関連しており、長期的な企業価値の向上を目指した重要な施策です。
背景と目的
カタリスト投資顧問は、マネックス・アクティビスト・マザーファンド(MAMF)およびJapan Catalyst Fund(JCF)を通じて日本企業へのエンゲージメントを行っています。今回の提案は、TBS HDにおける配当政策と自己株式の取得についてのもので、格差の調和と資本効率の向上を図ることを目的としています。将来的にはROE(自己資本利益率)を8%にまで引き上げることが求められており、それに向けた具体的な施策が示されています。
提案の詳細
1. 剰余金処分の提案
最初の提案は、剰余金の処分についてです。この議案は年間の配当金総額が配当性向の60%に相当するよう設定されています。具体的には、1株当たりの配当金を124円とし、これを株主総会で提案される剰余金配当額を控除した金額から算出します。配当金は、本定時株主総会の翌営業日から3週間後に支払われる予定です。この提案は、資産売却や短期的な株主還元を求めるものではなく、持続的なROE向上を目指すための資本配分の適切な管理を髙めることを意図しています。
2. 自己株式取得の提案
次に、自己株式の取得に関する提案を行っています。取得株式数は1,500万株、取得価額の総額は540億円を限度とし、これを株主総会の結了後1年以内に実施することを目指します。この自己株式取得は、前述の配当と合わせて資本効率を向上させる試みであり、結果として企業価値の最大化を目指すものです。TBS HDの純資産は1兆円を超え、投資有価証券や保有不動産の価値を考慮すると、株主還元を行うことはコンテンツ投資に悪影響を及ぼすとは考えにくいという見解が示されています。
結論
TBSホールディングスへの株主提案は、企業の将来的な成長や収益改善に向けた重要なステップです。カタリスト投資顧問が示した一連の議案は、継続的な利益成長を促進するものとして大きな注目を集めています。この提案がTBS HDにどのような影響を与えるのか、今後の株主総会での議論に注目が集まります。