肉牛敷料コスト削減
2021-10-13 13:11:46
肉牛敷料のコスト削減実現に向けた新技術の導入事例
新たな敷料生成技術がもたらす経済的効果
近年、畜産業界では敷料高騰が深刻な問題となっています。特に肉牛を育てる農家にとって必要不可欠な敷料は、主におが粉などの木材原料から作られています。しかし、国内での調達が難しく、最近の世界的な木材不足や新型コロナウイルスの影響で、輸入価格が上昇し、農家の経営を圧迫しています。このような状況を受けて、株式会社JETが開発した「急速土着菌増殖乾燥システム(ERS)」が注目されています。これにより、糞尿を資源化し、敷料を自給することが可能になりました。
敷料不足を解消する取り組み
エフシーエスという肉牛の一貫肥育を営む事業者は、2020年9月に初めてERSを導入しました。これにより、従来の海外からの調達に頼ることなく、年間約5,000万円のコスト削減を達成しました。4760頭の肉牛を育てるエフシーエスでは、年間約6,000トンのおが粉を必要としており、そのほとんどを海外からの輸入に依存していました。ERSの導入により、糞尿をすぐに敷料として利用できるため、悪臭や汚水問題の軽減にも寄与しています。
環境への配慮と社会的責任
酪農業界では、糞尿による環境汚染が大きな問題となっています。特に北海道では、家畜糞尿に関する苦情の80%以上が悪臭や汚水に起因しています。ERSは、これらの環境問題にも対応しており、糞尿の乾燥過程で発生する臭気を抑制し、大腸菌を死滅させる効果があります。これに加えて、土壌に負荷をかけずに資源を循環させることができるため、畜産業界としての社会的責任を果たせるシステムとなっています。
技術の特徴と利点
ERSは、好気性菌を利用し、糞尿を超高速で発酵乾燥させ、短時間で敷料を生成します。通常の堆肥化プロセスは数ヶ月を要しますが、ERSでは数時間で完了します。また、水分率の調整も可能で、土地を無駄にすることなく、リサイクルされた敷料を畜舎内で再利用できます。こうした技術は、畜産農家にとっての生産性向上やコスト削減に寄与するだけでなく、環境への負荷軽減にも貢献します。
今後の展開
現在、長崎県や北海道帯広市でもERSの導入が進められています。これにより、全国の畜産農家がこの新技術を活用し、さらなる経済的効果を期待できるでしょう。株式会社JETは、このシステムの開発と普及を通じて、持続可能な畜産業の確立を目指しています。経済効果だけでなく、環境保全への取り組みとしても、農業界全体にインパクトを与えることが期待されています。
会社情報
- 会社名
-
株式会社JET
- 住所
- 東京都千代田区一番町19全国農業共済会館
- 電話番号
-
03-5213-4395