岡山大学の新たな研究:氷の謎に迫る
国立大学法人岡山大学は、物理学の研究において重要な発見をした。岡山大学異分野基礎科学研究所の松本正和准教授と中国浙江大学の望月建爾教授を中心とした研究グループが、ナノメートルサイズの水滴が凍結する過程を計算機シミュレーションによって詳細に分析した結果、驚くべきことに新たな形状の氷の微結晶を発見した。
研究の背景と目的
雪の結晶は通常、六角形の形状をしていることが多いが、実際には多様なイレギュラーな形状が存在する。このような形状の一つ、70度の角を持つ双晶と呼ばれる氷晶の形成メカニズムについては、これまでの研究でもハッキリした解明がなされていなかった。このため、今後の人工雨の実現や気候変動の研究において重要な知見を提供する可能性がある。
研究の発見
研究者たちは、計算機シミュレーションを用いて、特定の条件下でナノメートルサイズの水滴が凍結する過程を観察した。その結果、五方両錐形や正二十面体形といった、稀有な形状の氷の微結晶が、特定の割合で生成されることを確認した。この発見は、雲の中での氷核生成メカニズムの理解に新たな手掛かりを提供することになる。
有用性と応用
氷核が生まれる最初の段階を明らかにすることは、様々な科学的な応用にもつながる。特に、人工雨を降らせる際に散布する氷核形成促進剤、「発核剤」を設計する過程において、重要な知見を提供する可能性が高い。この研究によって、今後の気象操作技術の発展につながることが期待される。
結論と今後の展望
本研究は、2024年10月18日に米国化学会の科学雑誌「ACS Nano」に掲載され、注目を集めている。岡山大学の研究者たちは、この成果をもとにさらに研究を進め、氷の形成やそのメカニズムに関する新たな知見を引き続き探求する意向を示している。
詳細な論文は
こちらから確認できる。今後も岡山大学の研究が、より深い科学の理解へとつながることを願ってやまない。