次世代集光型太陽熱システムが切り拓く脱炭素社会の未来

次世代集光型太陽熱システムとは

近年、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、世界中で多くの国や地域が産業用熱需要の脱炭素化に取り組んでいます。このような課題に応えるべく、集光型太陽熱システムが注目されています。

この技術は、太陽光エネルギーを集中させて熱として蓄え、その熱を供給するものです。具体的には、特殊な鏡（ヘリオスタット）を使用して太陽光を集め、次にレシーバーによって熱媒体に変化させることで、熱エネルギーとして利用します。これにより、再生可能エネルギーの変動性を解消し、安定した熱供給を実現することが可能です。

FPR Energy社の挑戦

FPR Energy社は、豪州の科学研究機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構（CSIRO）で開発された集光型太陽熱技術の社会実装に向けて2023年に設立されたスタートアップです。

同社で採用されている技術の特徴は、化学的に安定したセラミック粒子を熱媒体として使用し、独自に開発したレシーバーおよび熱交換器を導入している点です。この新たなシステムでは、最高1,200℃の高温熱供給が可能であり、従来の技術に比べて運用コストや効率が大幅に改善されています。

既にFPR Energy社は1MWt規模の実証を完了しており、今後は2026年内を目指して50MWt規模へのスケールアップを計画しています。これにより、豪州をはじめとする太陽光の豊富な地域での事業化を目指しており、脱炭素化が難しかった産業用熱需要の解決に寄与することを目指しています。

脱炭素社会に向けた一歩

特に注目すべきは、FPR Energy社が将来的に提供することを計画している、高温蒸気の大規模供給です。この供給が実現すると、これまで脱炭素化が難しかった産業分野に対する熱需要に対応していくことが期待されています。

さらに、FPR Energyは、当社グループが持つ高効率で環境に優しいガスコージェネレーションシステムやガスボイラーと組み合わせることで、エネルギー供給の安定性を大幅に向上させることが可能です。このような技術革新は、気候変動や社会問題の解決に寄与する重要な要素となります。