地球環境危機時計から見える現状と未来の課題とは
公益財団法人旭硝子財団が実施した「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査の結果が発表されました。この調査は1992年以来、毎年行われており、今年も世界202カ国から2,093名の環境有識者が意見を寄せています。本記事では、その調査結果を基に、現在の環境危機について考察し、今後の課題について考えます。
環境危機時計の指す時刻
今年の環境危機時計®は9時27分を示しており、昨年よりも4分時計の針が戻りました。これは2021年以降、4年連続での減少です。特に西欧地域では昨年に比べて19分進みましたが、その他の地域では多くが時計の針が戻っています。
特にメキシコや中米、カリブ諸国の針は35分、さらに中東では44分も進んでおり、これらの地域の環境問題は深刻な状況にあるといえます。一方、日本は昨年から6分進み、9時37分の時刻を示しています。これは、他の地域と比べるとわずかに進行している状況ですが、依然として高い危機意識が求められます。
環境危機に関する世代による認識の違い
年代層別に見ると、60代以上の回答者は他の世代に比べて、環境危機時計が進んでいるとの認識が強いことが明らかになりました。対して、20代から50代の世代では時計の針が戻る傾向にあり、世代間での意識の差が顕著です。特に中国の若者たちは政府の環境対策に期待を寄せており、環境問題は好転していると感じているようです。
環境問題への主要な関心項目
調査では「地球環境の変化を示す項目」として、9つの重要な問題が挙げられています。その中でも「気候変動」が最大の要因となり、選択された人の30%がこの問題を最重要視しています。一方、「生物圏保全性」については13%で続いており、これらは7年連続でのランキングです。
脱炭素社会の転換への道
脱炭素社会への移行においては、政策面や社会基盤の整備が一般人の意識に比べて進んでいないとされます。この問題は、特に若い世代の中で環境への関心が高まりつつある中でも、更なる政策の推進が求められています。
次に「野生生物の生息地の保全」に関しては、全体的に進んでいないとの認識があり、特に20代や30代は保全に対して比較的良好な認識を持っているようです。
持続可能な開発目標 (SDGs)の現状
持続可能な開発目標(SDGs)については、日本国内で2030年達成が難しいと考えられている目標が見受けられます。最も達成が厳しいと思われる目標は「貧困をなくそう」で36%がこれに対し懸念を表明しており、「質の高い教育」については比較的高評価を受けています。
いまだ多くの課題が残されていますが、調査結果を通じて、さまざまな意識の違いが明らかになりました。環境問題の進展には、各世代がどのように協力し合うかが重要です。今後も多様な視点から意見を集め、持続可能な社会を目指していくことが求められます。
この調査の詳細や、回答者から寄せられた具体的な意見などは旭硝子財団の公式ウェブサイトで公開されているので、ぜひご覧いただき、今後の環境問題に対する理解を深めてください。
旭硝子財団の公式ウェブサイトを参照して、最新の調査結果や提言を確認してみましょう。