IT企業のBCP策定状況を探る
NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した調査によると、IT企業の約8割が事業継続計画(BCP)を策定または策定予定であることがわかりました。これは、企業が急増する自然災害や感染症などのリスクに対応する必要性を強く感じている現れです。特に、緊急時における指揮命令系統の整備が重要視されており、企業がどのように備えているかを詳しく見ていきます。
調査の背景
近年、日本は新型コロナウイルスの影響や自然災害に見舞われ、その対策が企業経営において重要なテーマとなっています。NSSスマートコンサルティングが運営する『ISOプロ』は、IT企業の経営者や管理職、危機管理部門に所属している方々を対象にした調査を行い、BCPに関する知見を得ることを目的としました。主要な調査結果は以下の通りです。
自然災害の経験
調査において、約6割が自身の職場で自然災害の被害を経験したと回答しました。被害の内容は、台風による浸水、大雪による部分崩壊、など多岐にわたります。これにより、予期せぬ事態に備えることの重要性が認識されていることがわかります。
BCP策定状況
調査結果によると、BCPを『策定済み』または『策定中』の企業は合計で約60%を占め、さらに策定を予定または検討中の企業も20%以上存在しています。多くの企業がBCP策定の必要性を痛感していることが浮かび上がります。主な理由としては、近年多発する大きな地震や自然災害の影響が挙げられます。
対策の優先順位
BCP策定にあたって、特に重視されるべき対策は何でしょうか。調査によれば、最も増えた項目は『緊急時の指揮命令系統の整備』で、次いで『システムとデータの保護』や『重要業務の継続』が挙げられています。企業は、非常時において迅速に指揮命令を行える体制を整えることを重視しているのです。
運用の課題
一方で、BCPを運用する上での課題も存在します。調査では、『知識不足』が約30%と最も多く挙げられ、続いて『従業員への教育』や『訓練』などが課題として認識されていることが示されました。BCPの有効性を最大限に引き出すためには、運用に際してこれらの課題への対策も必要です。
未策定企業の状況
BCPを策定していない企業も少なくありません。その理由には、『策定しなくても問題は発生しない』という安易な考えや、費用面の問題があるようです。しかし、調査によれば、未策定でも不安を感じているという声も約3割にのぼっています。少なくとも一部の企業は非常時に備えてしっかりとしたプランが必要だと認識しているようです。
まとめ
NSSスマートコンサルティングの調査から、IT企業がBCPをどのように捉え、どのような準備を進めているかが明らかになりました。自然災害や感染症といったリスクに対して、企業が早期復旧を図るための体制を整える必要性を多くの企業が感じていることがわかります。BCPは単なる計画に留まらず、経営戦略の一環と考え、積極的に強化していくことが企業の信頼性を高める結果となるでしょう。
BCPの重要性が多くの意見に反映されており、今後もその必要性は高まることが予想されます。さらに、BCPの成功には、知識と教育の普及、外部専門家への依頼といった支援をうまく活用することが欠かせません。