BlueArchの新しいブルーカーボン調査技術
一般社団法人BlueArchが、海藻被度の測定手法として水中ドローンを活用した新たな技術を開発し、2025年2月25日付で特許登録を果たしました。この技術は、国土交通大臣の認可法人であるジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)によるJブルークレジット®認証を取得しており、ブルーカーボン・クレジットの創出に向けた調査手法としての有効性が認められています。
特許の背景
ブルーカーボンとは、海藻やマングローブなどの海洋生態系によって吸収される炭素を指します。このシステムは、持続可能な海洋生態系の保全を推進するために非常に重要です。しかし、海中のブルーカーボン量を測定するには、従来は現地での調査が不可欠であり、多大な時間やコストが必要とされていました。これは、水面直下に生息する生物を調査する際の大きな課題となっていました。
革新的な調査手法
BlueArchでは、市販の水中ドローンを使用し、より簡便で効率的な調査が可能な手法を開発しました。この技術により、海洋での調査過程での身体的負担が軽減され、潜水準備時間の短縮も実現しました。その結果、調査のスピードが大幅に向上し、所要時間の削減に成功しました。
コドラートを利用した測定手法
藻場モニタリング調査において利用される「コドラート」と呼ばれる方形の枠を海底に設置し、ビデオ撮影を行う従来手法に代わり、BlueArchは水中ドローンを使用する新しい方式を取り入れました。この方法では、ドローンが海底にコドラートを設置し、その後の回収も容易であり、船上からの操作のみで作業を完結できます。従来式の潜水方法に比べ、お手軽に広範囲の調査を効率的に行うことができるのです。
ブルーカーボンの重要性
ブルーカーボン生態系は、気候変動への対策と生物多様性の保護の両方に寄与できるため、その取り組みは非常に重要です。海洋生態系によって吸収された炭素が長期間にわたり貯蓄されることから、ブルーカーボンは温暖化防止の有効な手段とされています。国連気候変動枠組条約により、日本政府は温室効果ガスの吸収量を国連に報告しており、その中にはブルーカーボンも含まれています。2024年4月には、日本が初めて海藻藻場が吸収する無形の温室効果ガス量を報告した事例もあります。
今後の展開
BlueArchは、3/29(土)に開催の令和7年度日本水産学会春季大会において、今回の技術について発表する予定です。また、将来的には、操縦型水中ドローンやAI技術、さらには衛星技術や自律型海中ロボットを活用して、より正確かつ効率的な調査手法の開発に取り組む考えです。地域の漁業者や大学、企業との連携を強化しながら、海洋環境における新たな研究や調査の展開を目指しています。
BlueArchは海洋環境の重要性を広く認識してもらうため、今後も積極的な活動を続けていくことでしょう。
公式ウェブサイトはこちら。