日本初の深海探査プロジェクトが始動
2025年6月より、するとされる知られざる海の世界を探求する特別なミッションが幕を開けます。このプロジェクトは、Nippon Foundation-Nekton Ocean Census(以下、Ocean Census)と日本の海洋研究開発機構、JAMSTECとの共同により実施され、有人潜水調査船「しんかい6500」を用いて行われます。
この探査の主な目的は、日本の排他的経済水域(EEZ)内に広がる豊かな生物多様性を持つ南海トラフや七曜海山列を対象にすることであり、この神秘的な深海エコシステムに潜む未知の生物を明らかにすることです。
共同のビジョンから生まれる新たな知識
JAMSTECの河野健理事は、「この探査は単なる海の未知に挑む旅ではなく、持続可能な海洋の未来のための貴重な知識を生み出すことを目指しています」と、プロジェクトの意義を説明しています。今回の取り組みは、これまで十分に調査が行われていない海域に焦点を当て、科学者たちの専門性を集結させて、国際的な連携を推進します。
本探査には、JAMSTECだけでなく、名古屋大学や北海道大学、オーストラリア国立大学から参加する研究者たちが関与し、火山性の海山やメタン湧出帯など、様々な深海環境で多くの潜航を実施する予定です。
海洋保全の新たな知識基盤の確立
Ocean Censusの探査隊共同リーダー、ミシェル・テイラー博士は、「今回の探査は単なる新種の発見だけでなく、日本がリードする形で、海洋の保全に関する新たな知識基盤を築くための挑戦です」と語ります。彼女はさらに、JAMSTECの実績と優れたインフラ、そして日本財団の支援があることで、未知の数多くの新種が発見されることを期待しています。
オープンサイエンスの実践
Ocean Censusは、得られた科学的成果を迅速に全ての人々に提供することに力を入れています。「オープンサイエンス」の理念のもと、探査で確認された新たな発見は、公開プラットフォームを通じて誰でもアクセス可能になります。さらに2025年の探査終了後には、新種発見に関するワークショップが開催され、国内外の研究者が集まり、収集された生物の分類作業を進める予定です。
誰もが楽しめる情報発信
この探査期間中、一般の人々向けにSNSや教育機関との連携を通じた情報発信も行われます。探査船からのリアルタイム映像などが配信されることで、多くの人が深海の探求に参加できる機会が提供されることでしょう。Ocean CensusのSNSアカウントでは、探査の進行状況などが随時更新される予定です。
国際的な協力の象徴
「しんかい6500」が未知の深海への挑戦を開始することは、国際的な科学的協力と探求心が結集した重要な取り組みと言えます。このプロジェクトを通じて、地球の生物多様性の理解がさらに深まり、持続可能な海洋の未来に向けた光明が見えてくることでしょう。
最終的に、Ocean Censusは、科学、メディア、慈善事業、企業、市民社会などの連携を活用し、海洋の未開拓の知識を獲得するための新たな一歩となります。その意義は、地球環境を守るために欠かせないものとして、多くの人々に届くことでしょう。