GFAP遺伝子の変異が認知症発症に関わる大脳白質病変に影響 - 慶應義塾大学らの研究
慶應義塾大学、九州大学、弘前大学などの共同研究グループは、大規模な認知症コホート研究(JPSC-AD研究)のデータを用いて、大脳白質病変と遺伝子の関連性を調べました。その結果、GFAP遺伝子の変異が、大脳白質病変の容積に影響を与えることを突き止めました。
大脳白質病変と認知症の関係
大脳白質病変は、脳のMRI画像で確認できる病変で、脳卒中や認知症の発症リスクを高めることが知られています。これまで、高血圧などの生活習慣病が原因となる場合が多いとされていましたが、近年では遺伝的な要因も注目されています。
東アジア人における遺伝的要因の解明
今回の研究では、東アジア人を対象とした大規模なゲノム解析によって、GFAP遺伝子の変異と大脳白質病変の関係が明らかになりました。GFAP遺伝子は、神経細胞を支えるグリア細胞の主要な構成要素であるグリア線維酸性タンパク質の遺伝子です。研究チームは、この遺伝子の変異が、大脳白質病変の容積に影響を与え、認知症発症のリスクを高める可能性を示唆しました。
今後の展望
この研究成果は、認知症発症のメカニズム解明に大きく貢献すると期待されています。今後、GFAP遺伝子の変異と認知症発症の関係をさらに詳細に調べることで、より効果的な予防や治療法の開発につながることが期待されます。
研究概要
- - 研究機関: 慶應義塾大学、九州大学、弘前大学、岩手医科大学、金沢大学、松江医療センター、愛媛大学、熊本大学、東北大学、理化学研究所生命医科学研究センター
- - 研究題目: Genome-wide association study of white matter hyperintensities in the Japanese population
- - 論文掲載誌: npj Genomic Medicine
- - 掲載日: 2024年11月13日
参考文献