フィリップスが新たな循環器向け超音波診断装置を発表
株式会社フィリップス・ジャパンが、2024年8月1日に循環器用超音波画像診断装置「EPIQ/Affiniti CVx Transcendシリーズ」を発売しました。そして、2024年10月1日には小児にも対応可能な細径3D経食道トランスジューサ「X11-4t」の販売も開始される予定です。
この新シリーズの導入は、医療現場で直面する人手不足を解決する一助となることが期待されています。「Future Health Index 2024」というグローバルレポートによれば、約75%の医療従事者がスタッフ不足を経験しており、それが医療品質に悪影響を及ぼすことが指摘されています。これに対し、AI(人工知能)技術の導入が関心を集めており、フィリップスの新しい装置にはそのAI機能が搭載されています。
TranscendシリーズのAI機能
Transcendシリーズには、新たに4つのAI機能が搭載されています。例えば、ドプラ波形を自動で認識し、計測時の操作を軽減する「Smart Doppler View ID」、および3断面を自動で選択する「Smart View Select」は、検査中の操作をサポートします。これらの機能は2023年にフィリップスが買収したDiA社の技術を基にしており、検査のスピードや再現性を向上させることが可能です。また、AIの活用により、従来の複雑な解析作業が簡便に行えるようになります。
さらに、3Dデータを解析するソフトウェアには、三尖弁と逆流を評価するための新機能「3D Auto TV」と「3D Auto CFQ」が加わりました。この技術により、動的にかつ自動的に3Dデータを評価できるため、従来の方法に比べて操作の負担が大幅に軽減され、精度も向上します。
画質の向上と新たなトランスジューサ
Transcendシリーズは、より鮮明な画像を提供するために画質の調整も行われています。AI技術が正確に機能するには、高品質の画像が必要です。これにより、画像認識の精度が向上し、自動解析の性能も向上します。
また、細径3D経食道トランスジューサ「X11-4t」は、従来のX8-2tに比べてチップ幅が35%縮小されており、特に小児患者や特定の成人症例への適応が期待されています。この新しいトランスジューサは、循環器領域の超音波診断装置に搭載され、高解像度の3D画像を提供します。
医療現場への影響
フィリップスは、医療現場における「必要な検査を必要な患者様に」という理念のもと、新たな機器を展開しています。特に、心臓病治療に関わる医師たちにとって、全身麻酔を軽減する可能性があるこの新技術は大きな利点です。また、使いやすいワークフローにより、特別なトレーニングを施さなくても操作が可能です。
結論
フィリップス・ジャパンが提供する新しいEPIQ/Affiniti CVx Transcendシリーズは、循環器分野における診断の質を劇的に向上させる可能性を秘めています。最新のAI技術を駆使した新機能の数々は、医療従事者の負担を軽減し、より正確で迅速な診断を可能にするでしょう。フィリップスは、今後も革新的な技術を通じて、より良い健康と生活を実現することを目指しています。