サマリウム磁石の革新
2024-09-10 15:55:47

高耐熱性を持つサマリウム-鉄-窒素永久磁石技術の革新

革新的な永久磁石技術の開発



日本特殊陶業株式会社と国立研究開発法人産業技術総合研究所は、サマリウム-鉄-窒素(Sm2Fe17N3)系の焼結磁石に関し、高密度化および高性能化を実現する技術の開発に成功しました。この成果は特に、耐熱性が求められる電気自動車(EV)の高効率モーターへの応用に期待が寄せられています。

サマリウム-鉄-窒素磁石の特性


Sm2Fe17N3磁石はその優れた磁気特性と高い耐熱性から、ネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)磁石の代替として注目されています。しかし、生成過程で高温での焼結が要求される一方、Sm2Fe17N3は相対的に低温(約420℃)で分解してしまうため、密度の高い微細構造を形成することが課題でした。

新規焼結助剤の開発


これまで、低い融点を持つ亜鉛を使用した低温焼結法が検討されてきましたが、その結果、磁化が低下するという問題がありました。これに対して、今回の研究チームは周期表の第2族元素を含む新たな合金焼結助剤を開発しました。この新助剤のおかげで、Sm2Fe17N3磁石を高密度化することができ、磁化の低下を抑えることに成功しました。

期待される応用


高耐熱性と資源リスクが低いこの新技術は、特に電気自動車のような厳しい条件下での利用が見込まれます。高効率で長寿命のモーターを実現することで、EV市場のさらなる拡大に寄与するでしょう。

発表と今後の展望


この新技術に関する発表は、2024年9月19日に大阪大学で開催される日本金属学会秋期講演大会で行われます。また、2024年10月11日には名古屋市で「未来モビリティ材料」共創フェアでも発表予定です。今後更なる研究が進むことで、実用化が期待されます。

結論


サマリウム-鉄-窒素系焼結磁石の高密度化技術は、持続可能なモビリティの実現に向けた重要な一歩です。新規焼結助剤の開発により、性能を損なうことなく高密度化に成功したことで、今後の展開に大きな期待が寄せられています。



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