卵の中のひなの性別が、孵化前にわかる!ゲノム編集技術が実現する未来
採卵鶏の生産において、卵を産むメスのみが求められるため、オスのひよこは生後間もなく殺処分されてきました。この問題は、動物福祉の観点から世界中で深刻視されています。
しかし、株式会社セツロテックと徳島大学は、この問題を解決する画期的な技術を開発しました。ゲノム編集技術を活用することで、卵の中のひなの性別を孵化前に判別できる技術です。この技術は、オスひよこの殺処分をなくし、動物福祉の向上に大きく貢献する可能性を秘めています。
目の色で性別を見分ける!
開発された技術は、鳥類の性染色体であるZ染色体上の網膜色素関連遺伝子をゲノム編集することで、オスとメスの「目の色」を変えるというものです。
ニワトリの場合、孵卵7日目という早い段階で、オス胚は黒色の目、メス胚は無色透明な目となり、その違いを容易に判別できます。卵の殻を割ることなく、LEDライトを照射することで、殻を透過した光で目の色の違いを光学的に検出することができます。
非遺伝子組換えで、簡便な手法
この技術は、非遺伝子組換え型であり、卵の殻に穴を開けたり、組織を採取したりする必要もありません。簡便な手法で、様々なニワトリ系統に適用できるため、産業レベルでの大量生産にも対応できます。
将来的には、オスの卵も有効活用
孵化前に「オス」と判別された卵は、鶏卵でのワクチン生産など、これまでとは異なる用途に利用することが期待されています。
セツロテックは、この技術によって、オスひよこの殺処分問題の解決を目指し、動物福祉の向上に貢献していくことを目指しています。
ゲノム編集技術の可能性
ゲノム編集技術は、遺伝子レベルで生物を改変することができる技術です。近年、医療分野だけでなく、農業や畜産分野でも注目を集めています。
セツロテックは、ゲノム編集技術を活用した研究支援サービスや、新品種の事業化を進めています。この技術が、様々な分野で社会課題の解決に貢献していくことが期待されています。