キャピタランド・インベストメントのウィンゲート買収
2024年12月16日、シンガポールを拠点とするキャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)は、オーストラリアの不動産およびコーポレート・クレジットの大手運用会社であるウィンゲート・グループ・ホールディングス(ウィンゲート)の買収を発表しました。この戦略的な買収は、CLIがプライベート・クレジット事業を拡大し、オーストラリアにおける市場プレゼンスを強化するための重要な一歩となります。
買収の詳細と背景
買収額は約2億豪ドル(約1億7,300万シンガポールドル)で、運用資産はウィンゲートのファンド運用総額25億豪ドルを加算したことにより、CLIの運用資産も大幅に増加する見込みです。これにより、CLI全体のファンド運用資産(FUM)は1,150億シンガポールドルに達し、オーストラリア国内におけるFUMも30%以上増加する予想です。今回の買収によって、CLIは現地の機関投資家や個人富裕層へのアクセスを強化し、業績をより高めていくと示唆されています。
ウィンゲートは、2004年に設立され、優れたリスク管理と投資パフォーマンスを誇るオーストラリアのプライベート・クレジット市場のパイオニアです。その事業は不動産債務や企業債務に特化しており、過去18か月間では33%の成長を見せ、オーストラリアのプライベート・キャピタル市場の運用資産は1,390億豪ドルに達しています。
新たな戦略の模索
CLIのグループCEOであるLee Chee Koon氏は「ウィンゲートをCLIのグローバルエコシステムに迎えることができ、非常に嬉しく思う」と述べ、ウィンゲートの強力な経営陣が同社をオーストラリアの主要なクレジットプラットフォームへと成長させたことを評価しました。
CLIは、この買収を通じて、オーストラリアでのFUMを2028年までに2,000億シンガポールドルに拡大することを目標にしています。オーストラリア市場には大きな成長の可能性が秘められており、CLIはそこへ最大10億豪ドルを投資することを約束しています。
今後の展望
ウィンゲートのマネージング・ディレクターに就任したNick Jacobson氏は、CLIとの連携により、共同投資家や借り手に対して投資機会がさらに増加するという期待を示しました。また、ウィンゲートはオーストラリアにおけるプライベート・クレジット事業の新たなリーディングカンパニーとしての位置づけを強化し、機関投資家にも選ばれるファンドマネージャーに成長する可能性があると述べています。
CLIの投資家を代表したCFOのPaul Tham氏は、ウィンゲートの買収が形成する新しいビジネスモデルにより、オーストラリア市場での持続可能な成長を目指すと説明しました。今後数か月で買収が完了する予定で、CLIはウィンゲートの既存のマネジメント体制を継続し、事業を拡大することを約束しています。
キャピタランド・インベストメントとは
CLIはシンガポール証券取引所に上場する不動産投資運用会社であり、2024年9月30日現在、約1,340億シンガポールドルの運用資産を有しています。CLIは幅広い不動産アセットクラスを管理し、アジア太平洋地域への拡張を図るなかで、持続可能な開発とコミュニティへの貢献を重視しています。今後のウィンゲートとの協力によって、オーストラリア市場における存在感をさらに強化していくでしょう。