免疫機能を高める乳酸菌GCL1815株の発見と期待される効果
江崎グリコ株式会社が保有する約1万株の菌株から新たに発見された
Lactobacillus helveticus GCL1815株 (以下、GCL1815株) が、その免疫機能を向上させる能力において顕著な結果を示しました。この乳酸菌は、ヒト細胞を使用した三つの免疫評価試験において高いパフォーマンスを記録し、特に感染症予防の効果が期待されています。日本農芸化学会の英文誌に2024年12月にその研究成果が発表される予定です。
研究の背景
乳酸菌の研究は、免疫機能調整における重要性が増す中で進展しています。感染症予防には免疫機能の強化が欠かせないため、免疫調整能を持つ乳酸菌の探索が盛んに行われています。この研究では、特に「免疫調整能」を重視し、
IgAの産生誘導、
樹状細胞活性化、
IL-12産生誘導という三つの評価基準に基づいて、GCL1815株が他の乳酸菌と比較された結果、卓越した性能が確認されました。
研究方法と結果
研究チームは、まず食品に適用される乳酸菌17種から免疫関連の評価試験を行い、308株を選抜しました。
この中で、GCL1815株について具体的に評価した結果、以下の成果が得られました。
1.
IgAの産生を誘導する力: GCL1815株は、対照群と比較して約2倍のIgA濃度を示し、優れた誘導能力が確認されました。IgAは体内でのウイルスや細菌の感染防止に関与する抗体です。
2.
樹状細胞の活性化: GCL1815株の存在下では、樹状細胞活性化の指標となるCD86の発現量が対照群に比べて2倍以上高まりました。樹状細胞はT細胞に指示を与え、感染症への対応力を向上させる役割を果たします。
3.
IL-12の産生を誘導する力: GCL1815株は、IL-12の産生を45倍以上も促進したことが明らかにされました。IL-12は免疫応答を調節し、感染細胞の除去を促す重要なサイトカインです。
これらの研究結果から、GCL1815株は高い免疫調整能を持つ乳酸菌であり、感染症予防の可能性が高いことが示唆されています。
今後の展望
江崎グリコは、GCL1815株を実際に摂取することによる効果をさらに検証し、人々の健康維持に寄与することを目指しています。
特に、感染症予防の観点からこの乳酸菌による健康価値を高めていくことが重要です。研究の進展に期待が高まる中、GCL1815株による効果的な免疫調整への道が開かれることを期待しています。
このような研究が進むことで、日々の健康管理がより効果的になり、結果として「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に繋がることが強く望まれています。
参考文献
本研究に関する詳細な論文は、以下の学術誌に掲載予定です:
「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」
Volume 89, Issue 3, March 2025, Pages 459–464.
著者: Keigo Tsuruno, Takashi Mawatari, Yukimasa Tanaka-Azuma, Atsushi Yamatsu, Soichi Tanabe.
URL:
https://doi.org/10.1093/bbb/zbae196
今後の開発に注目が集まります。