東京都立産業技術研究センターが世界最高性能のリン系熱電材料を開発

新しいエネルギー技術の展開

東京都立産業技術研究センターが、今秋に発表した革新的な技術が、世界中で注目を集めています。新たに開発されたリン系熱電材料は、従来の熱電材料の課題を克服しながら、特に500℃以下の排熱を電力に変換する性能が飛躍的に向上しました。この技術は様々な分野での省エネルギー技術としての可能性を秘めています。

リン系熱電材料とは

熱電材料は、温度差を利用して電力を生成することができる材料です。特に排熱回収において重要な役割を果たしますが、従来の熱電材料は有害元素を含むことが多く、その利用に制限がありました。このため、東京都立産業技術研究センターは新しいp型リン系熱電材料の開発に取り組み、世界で初めて、無次元性能指数であるZT値を1以上に達成しました。

開発の背景と狙い

これまでの熱電材料は、高温誘導が原因で熱応力や膨張収縮の問題を抱えていました。しかし、今回の開発では、熱サイクルによるこれらの課題に耐えうる機械特性と熱膨張特性を実現しています。この成果は、工場や自動車の排熱を効率的に利用し、電力に変換することが可能であるため、エネルギー問題の解決や環境負荷の軽減に大きく貢献することが期待されています。