東京の池袋にあるサンシャイン水族館では、2024年10月15日から18日および20日から21日まで、明治大学の中村聡史研究室が開発したペンギン個体識別システム「ペンさく」を一般に公開する実証実験が行われます。この新しい試みは、ペンギンの個々の魅力を引き出し、観客により深い理解と関心を促すことを目的として設計されました。
近年、動物園や水族館はただ動物を展示するだけでなく、訪れる人々が生き物に対して個別の興味を持てるような体験を提供することが求められています。サンシャイン水族館では、ペンギンの個性や特徴を知ることで、その背後にある生態や保全に理解が深まることを目指しています。特に、「ペンさく」はペンギンのお腹の模様をぬりえ感覚で入力することで、その個体を特定できる日本初のシステムです。
「ペンさく」の最も大きな特徴は、観察者が自ら手を動かして特徴を描くことで、ただ見るだけではなく、ペンギンとの関わりを深めることができる点です。手書きによる表現が、記憶に残りやすく愛着も生まれることが期待されており、これまでの画像認識技術によるサービスとは一線を画しています。観察者は、特徴を描いた後、ペンギンのデータベースに基づいて類似する個体を素早く特定でき、詳細な情報を得ることができます。
今回の実証実験の会場は、サンシャイン水族館の屋外エリアにある「草原のペンギン」水槽です。ここでは自然光が豊かで、ペンギンを間近で観察することができるため、体験に最適な環境といえるでしょう。料金は無料ですが、入場には水族館の入場料が必要です。参加方法は簡単で、館内に設置された二次元コードをスマートフォンで読み取るだけで利用可能です。
このシステムは、将来的には全国の水族館への展開や、さらには野生環境での生態調査への応用も検討されています。個体の特徴や行動を詳しく知ることができるようになれば、保全活動や研究への貢献も期待されているのです。
明治大学の中村聡史研究室の学生は、このシステムを開発することで、観察者が単なる観賞に留まらず、個々のペンギンに興味を持ってもらえることを促進したいと考えています。また、サンシャイン水族館の飼育スタッフもこの取り組みに賛同し、ペンギンについての情報を提供することで、訪れる人々の興味を引き出す手助けをしています。「ペンさく」は単なる観察ツールではなく、ペンギンたちと人々の距離を縮め、新たな発見を提供するものとして期待されています。
今後も水族館と教育機関との連携が強化され、より多くの人々が生き物との新たな出会いや発見を楽しむ機会が増えることでしょう。この新しいペンギン観察体験を通じて、動物との関わり方がどのように変わっていくのか、非常に楽しみです。