ダイハツ工業が切り拓く自走型DXの新時代
2025年10月31日、大阪市で開催された「全国ワークスタイル変革大賞2025 近畿大会」で、ダイハツ工業が最優秀賞を受賞しました。この大会は、働き方改革を進める企業が、実践的な事例を通じて参加者にヒントを提供する目的で行われ、多くの企業が取り組みを発表しました。
ダイハツ工業株式会社の取り組み
ダイハツ工業は、従業員数が1万人以上を誇る大企業ですが、壁を乗り越えて「現場主導のデジタルトランスフォーメーション(DX)」を進める姿勢が評価されました。これにより、現場の自走化を促し、AI技術の導入を成功させています。
1. 現場の信頼関係の構築
同社のDX推進室は、工場の現場に頻繁に足を運び、従業員との信頼関係を築くことから始めました。その結果、AIに対する懸念が払拭され、現場のキーマンがわずか2ヶ月でAI実装を習得できるようになりました。彼らは自分たちの手でAIを開発する技術を手に入れ、プロセスを改革しています。
2. 内製ノーコードツールの活用
ダイハツ工業では、現場が自らの手でAIを作るという文化が根付いています。その背景には、内製のノーコードツールの導入があります。このツールを使用することで、従業員たちは外部の開発者に頼ることなく、自らの手でAIを実装することができ、100件以上のAI事例が生まれました。これにより、外注業者にかかる費用も大幅に削減されています。
3. ボトムアップの推進
ダイハツ工業の特徴的な取り組みとして、現場の成果を経営層に還元するための発表の場を設けている点が挙げられます。現場の従業員が自らの成果を発表することで、経営層へボトムアップの連携が図れ、全社的な変革に向けた意識が高まっています。これは、「やらされ感」を払拭し、現場の主体性を引き出す大きな要因となりました。
株式会社中川の特別選出
ダイハツ工業に続き、株式会社中川も優秀賞を獲得しましたが、特に「ワークスタイル変革を超えている」と評価され、審査員特別枠として全国大会進出が決定しました。
中川は、林業DXに挑戦し、従来の枠を超えた取り組みを行っている企業です。起業の発端は「息子と遊ぶ時間がない」という個人的な事情であり、60年という長いスパンを持つ林業に新たな視点を持ち込みました。また、「木を伐らない林業」という新しいビジネスモデルにも取り組んでおり、ドローンのオープンソース化やBCP対策においても独自のアプローチを展開しています。
このように、ダイハツ工業と中川の取り組みは、ワークスタイルの変革にとどまらない、業界全体の未来を切り拓く事例として注目されています。全国大会では、それぞれの企業が採用した革新的な手法と成果がより広く認知されることが期待されています。特に、両社が我々に提供してくれるビジョンやアイデアは、今後の業界のモデルケースとなることでしょう。
今後の展望
ダイハツ工業は、12月16日に開催される全国大会に近畿エリアの代表として臨み、そこで他の企業と切磋琢磨しながら、その成果を披露します。中川も特別枠での出場を果たし、自らのモデルを全国規模で発信します。これらの活動は、他企業への良い刺激となり、今後のワークスタイル変革の幅広い展開に寄与することが期待されます。
この大会は、単なる受賞式ではなく、全国の企業が挑戦を報告し合う場でもあり、次なるトレンドを生み出す重要な機会となることでしょう。