環境省ナッジ事業の成果と五島市の取り組み
国の脱炭素社会実現を目指した新たな全国的な運動、「デコ活」が注目を集めています。この運動は、環境省の「ナッジ×デジタルによる脱炭素型ライフスタイル転換促進事業」とともに、東京都品川区の株式会社電力シェアリングが受託し、五島市の地域資源を生かして進められています。特に、五島市のゼロカーボンシティ実現協議会及び五島市民電力の協力を得て実施された社会実証実験が大きな注目を浴びています。
デコ活とは?
「デコ活」は、脱炭素(Decarbonization)と環境に優しいエコ(Eco)を組み合わせた造語で、二酸化炭素の削減につながる新しい暮らしを育むことを目的とした全国運動です。この取り組みの一環として、五島市で実施されたのは、再生可能エネルギーの有効利用を目的とした電力の上げDR(需要調整)促進実験です。
実証実験の内容
実証実験は、2024年7月に31日間の期間にわたり行われました。五島市民電力が提供する「ごとうの電気」を利用する1,334件の需要家に対し、昼間の電力需要量を増やすための施策が試みられました。具体的には、昼12時から13時の電力使用量が前の1時間の使用量を超えると、その1時間の電気料金が無料になるという金銭的インセンティブを提供。その効果を促進するため、チラシを配布し、CO₂削減の意義を伝えました。
行動変容の結果
社会実証実験終了後には、対象の需要家に対してインタビューを実施。その結果、一部の人々が空調やアイロンがけなどの時間を昼間にシフトさせる行動変容が見られました。電気料金の無料化をきっかけに、再生可能エネルギーの利用が環境保全に寄与することを理解し、さらに積極的に取り組もうとする声も多く寄せられました。
今後の展望
今回の実験から得られた知見をもとに、電力シェアリング社では金銭的インセンティブと社会貢献の意識を組み合わせたモデルを引き続き構築し、その有効性を検証する計画です。ナッジの仕組みを取り入れた商用サービスの実現を目指し、今後の持続可能な地域社会の実現に向けて努力を続けていきます。
五島市でのこの取り組みは、地域の電力会社と市民の結びつきが新しいエコライフを生み出す一助となっていることを証明しています。これからもこのような意義深い実践が広がっていくことを期待しましょう。