女性管理職登用に関する現状分析
最近発刊された『日本の人事部 人事白書2025』では、全国の企業における女性の管理職や役員登用に関する課題が明らかにされています。この調査は、総勢6,139社の人事部門を対象に行われたもので、その結果は多岐にわたります。
調査結果の概要
調査結果によると、女性を管理職や役員に昇進させる際の現状にはいくつかの明確な障壁が存在しています。具体的には、「女性自身が目指していない」、「要件を満たす女性が少ない」という意見が多く挙げられました。
課長相当職への昇進
課長相当職に関しては、最も多かった回答が「女性自身が目指していない」で47.2%を占めました。続いて「要件を満たす女性が少ない」が45.2%、さらに「全社の女性従業員の数が少ない」が28.7%となっています。また、従業員規模が大きくなるに連れて、「ロールモデルが少ない」や「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の根強さ」が課題として指摘されています。
部長相当職への昇進
次に部長相当職への昇進については、「要件を満たす女性が少ない」という回答が53.0%と最多でした。その他の回答としては、「女性自身が目指していない」が44.1%、続けて「ロールモデルが少ない」が29.2%という結果が得られました。また、501人以上の企業では「ロールモデルが少ない」が顕著に指摘されています。
役員への昇進
役員への昇進でも同様に「要件を満たす女性が少ない」(55.7%)が最も多く、次いで「女性自身が目指していない」が37.2%となっています。このように、役職に応じてさまざまな課題が表面化していることが確認されました。
ダイバーシティとインクルージョン
調査の監修者である東京女子大学の正木郁太郎氏は、特に大企業の女性活躍推進に関して、どの職位で何が課題となっているかを見直す必要性に言及しています。職位ごとに異なる課題が存在するため、単に「女性が目指さないから」といった一元的な見解に依存するのではなく、各企業の特性や現場のニーズに合った措置を講じることが重要だと指摘しています。
その他の調査結果
その他の結果としては、企業の約9割が戦略人事の重要性を理解しているものの、実際に機能していると答えた企業は約3割に留まっていることが明らかになりました。また2025年卒の新卒採用では、質の確保が新たな課題として浮上しています。採用の量だけでなく、選考基準も見直す必要性が強調されています。
人事白書について
『日本の人事部』は毎年全国規模の人事課題について調査を行っており、その結果を『日本の人事部 人事白書』としてまとめ、発表しています。これは企業が抱える課題を明らかにし、問題解決への手がかりを提供することを目指しています。詳しい調査結果は
こちらから確認できます。
このように、『日本の人事部 人事白書2025』が示した結果は、日本企業の女性管理職の登用に関する重要な洞察を提供しています。これを受けて、企業は具体的な改善策を講じる必要があります。