超伝導加速器「RiSA」が10MV/mの出力を達成
株式会社NovAccelが開発を進めている医療用ラジオアイソトープ(RI)製造を目的とした小型超伝導電子加速器「RiSA」において、加速空洞性能試験にて10MV/mの加速勾配を実現しました。この成果は、2025年10月までの開発マイルストーンとして設定された目標を達成するものであり、医療現場への応用が期待されています。
試験の概要と成果について
今回の試験では、単セル空洞に様々な試験装置や伝導冷却アダプターを取り付け、横型のクライオスタット内に設置し冷却試験や高電界試験を実施しました。ニオブスズの表面処理技術の最適化が加速勾配性能の向上に寄与し、最終的には2025年10月27日に、極低温化されたシステムにおいて10MV/mの加速勾配の確認に成功しました。この成果により、アクチニウム225(Ac-225)製造に必要な加速器性能が確保される見込みです。
RiSAの開発と目的
RiSAは、医療用RI製造専用に設計された小型超伝導電子加速器で、特にがん治療に有効な放射性治療用同位元素Ac-225の製造を目的としています。Ac-225は、今後の標的型放射線治療(TAT)において重要な役割を果たすことが期待されています。この加速器は、内部に形成された電場を利用して荷電粒子を加速する重要な部品であり、超伝導状態を維持するためにニオブで製造されていて、極低温での運用が必要です。
加速空洞性能試験の意義
加速空洞は、超伝導加速器の性能を決定づける重要な要素であり、消費電力を抑えつつ優れた加速性能を発揮することが求められます。RiSAでは、加速空洞の内面にNb3Sn膜を形成し、小型冷凍器の温度域でも性能を保持できる設計がなされています。今回の性能試験は、この加速空洞における加速性能を評価し、実用化に向けた重要な実証の一部となりました。
今後の展望と製造プロセス
今回の試験成功により、RiSAの実用化に向けた開発は大きな前進を見せています。次は、実際の製造プロセスに移行し、医療用RIの安定した供給体制を確立するため、開発を加速していく計画です。がん治療分野での標的型放射線治療の普及に貢献することを目指し、患者様にとっての新たな治療選択肢の提供を進めていく所存です。
株式会社NovAccelについて
株式会社NovAccelは、茨城県土浦市に本社を構え、最先端の超伝導加速技術を駆使して医療用RIの安定供給を目指すディープテック企業です。同社は独自の技術力を活かし、医療分野におけるイノベーションを推進し、社会への貢献を目指して日々努力しています。
会社概要
- - 会社名: 株式会社NovAccel
- - 所在地: 茨城県土浦市虫掛3706-1
- - 代表者: 山下了
- - 設立: 2024年6月
- - 事業内容: 医療用超伝導加速器の研究・開発
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