がんの県民性と最新予防法
2024-02-28 16:40:01

日本人の起源とがんリスク、子宮頸がん予防の最前線:東大教授が語るがんの県民性と最新対策

日本人の起源とがん、そして子宮頸がん予防:東大教授講演会レポート



東京大学特任教授の中川恵一氏による講演会「日本人の起源とがん~がんの県民性~」「子宮頸がんを防ぐ~最近のトピックスから~」が開催されました。本記事では、講演内容を分かりやすく解説します。

がんの要因:意外な感染リスク



現代におけるがんの要因で最も多いのは感染です。男女全体では、感染が16.6%で1位、喫煙が15.2%で2位という驚くべき事実が示されました。この感染リスクの高さは、一般的にあまり認識されていません。

特に重要な感染型のがんとして、胃がん(ピロリ菌)、子宮頸がん(HPV)、肝臓がん(C型・B型肝炎ウイルス)、成人T細胞白血病(母乳感染)などが挙げられました。これらのウイルス感染は、多くが小児期に発生するため、早期の検査と予防が重要です。

がんの県民性:地域差と遺伝的背景



日本においては、地域によって特定のがんの発症率に差が見られます。

胃がん:秋田県など、塩分摂取量の多い地域で高発症。塩蔵食品の摂取が胃がんリスクを高めることが動物実験で確認されています。ピロリ菌検査と除菌、減塩が予防に有効です。
肝臓がん:佐賀県など、東シナ海周辺地域で高発症。C型・B型肝炎ウイルス感染が主な原因であり、早期検査が重要です。
乳がん:東京都など都市部で高発症。少子化による長期的な女性ホルモンへの曝露がリスクを高めている可能性が指摘されています。
白血病:沖縄県など、縄文系遺伝子比率の高い地域で高発症。母乳を介したHTLV-1ウイルス感染が原因であり、母乳栄養の可否が予防に関係します。
* アルコール関連がん:近畿、東海、中国地方で高発症。弥生系遺伝子比率の高い地域で、ALDH2遺伝子変異によるアルコール代謝の遅れがリスクを高めます。お酒によって顔が赤くなる人は注意が必要です。

これらの地域差は、生活習慣に加え、日本人の起源である縄文人と弥生人の遺伝的背景にも関連している可能性が示唆されました。

子宮頸がん予防:ワクチンと検診の重要性



子宮頸がんは、HPV感染が主な原因です。日本の子宮頸がん罹患率は先進国の中で高く、深刻な問題となっています。

HPVワクチンは、高リスク型HPVの感染を予防し、子宮頸がんの発症リスクを大幅に低減します。2価、4価、9価ワクチンがあり、接種年齢が若いほど効果が高いです。

しかし、日本のHPVワクチン接種率は低く、キャッチアップ接種が実施されています。来年3月までなので、接種を検討する方は早めの行動が必要です。

子宮頸がん検診も重要です。20歳以上は2年に1度の細胞診が推奨されていますが、30歳以上ではHPV検査単独法も選択肢として加わりました。

まとめ



講演会では、日本人の起源とがんの関連性、地域差、子宮頸がん予防の重要性などが分かりやすく説明されました。自分の遺伝的背景や生活習慣を理解し、適切な検査と予防策を講じることで、がんリスクを軽減できることを改めて認識することが重要です。

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