株式会社アマダ、次世代人材育成に向けたDX推進を強化
株式会社アマダ(神奈川県伊勢原市)は、ゼロサプライヤーの取り組みを強化し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することで、変化するビジネス環境に適応したビジネスモデルの構築を目指しています。特に注目すべきは、新たに設立した「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」です。このセンターは、社員のエンジニアリング教育を担当し、国内外のお客様の製造現場に貢献できる次世代の人材を育成することを目指しています。
ATECの設立背景
近年、製造業は労働者不足や技能継承の難しさに直面しており、スキルレス化や自動化の対応が急務となっています。特に、持続可能な社会の実現やデジタル技術の発展に伴う課題解決が求められる中、アマダはこの新しいセンターを設立しました。ATECでは従来の知識や技術を超え、変化の速い環境に適応できる人材の育成が重要なテーマです。
DXと人材育成
アマダは、2018年に導入したIoTソリューション「V-factory」により、既に国内外の約8,000台のマシンを接続し、リアルタイムでのデータモニタリングを実施しています。このシステムによって、顧客の工場の現状を可視化し、高付加価値の生産を実現していますが、最近ではAIやビッグデータを活用した「ADMS(AMADA DX Management Solutions)」に関する取り組みも進行中です。ADMSは、データ分析を通じて新たなビジネス機会を創出し、顧客企業の社会課題を解決することを目指しています。
アマダは、製造現場と本社の一体化を図り、従来の営業支援システムを進化させつつ、関連情報を統一されたプラットフォームで管理しています。この新しいアプローチにより、顧客情報の可視化や分析が進み、営業効率が向上しています。特に、セールスエンジニアのために開発されたシミュレーターや提案ツールは、顧客に対して高い提案力を発揮できる支援となっています。
新たな教育体制の実施
ATECでは、社員のエンジニアリング力を高めるために、オンラインプラットフォームを通じて約800種類のトレーニングコンテンツを提供しています。スキルマップを用いた個別のスキル分析が可能で、トレーニングの実施はリモートでも行えます。これによりサービスエンジニア全体のスキルを均質化し、特に多様化する顧客ニーズに応える能力を向上させます。
新センターでは、最新の機械や自動化システムが実習用に設置され、実労務に基づいたプログラミングや加工技術の習得も重視されています。この施設を利用することで、異なる200機種のマシンに対応できる柔軟なスキルを持ったエンジニアを育てることができるのです。
加えて、ATECの屋上には太陽光パネルが設置され、環境への配慮も行っています。このような取り組みは、アマダが持続可能な企業成長を重視していることを示しています。
未来へ向けたビジョン
今後もアマダは、DX推進と人材育成を継続して進め、社会の変化に対応できる強固な経営基盤の構築を目指しています。中期経営計画2025では、バランス投資へのシフトが掲げられ、人材の育成や技術の向上を重視しています。アマダの取り組みが成功すれば、製造業全体における課題解決や競争力の向上に貢献することでしょう。