幸せを感じない日本人、経済的な要因が影響
世界最大規模の世論調査会社イプソスが発表した「イプソス幸福感調査2025」によると、日本における幸福度が経済的な要因に大きく左右されていることが明らかになりました。この調査は、日本を含む30か国の23,765人を対象に行われ、日本人特有の幸福感に対する考え方を見つめ直す良い機会となっています。
日本人が「幸せでない」と感じる理由
調査の結果、64%の日本人が「幸せではない」と感じる最大の要因として「経済的な状況」を挙げています。この数字は2位の「自分の人生には意味があると感じること」に比べて34%も高く、現状の経済的な厳しさが心の豊かさに直結していることが浮き彫りになっています。
実際、世界30か国の平均を見ても、経済的状況が幸せの妨げとなる要因は広く共通していることが見てとれます。たとえば、経済的な要因は58%の国民が挙げる理由となっており、精神的健康が30%という結果からも、日本だけに特異な現象ではないことがうかがえます。
しかし、逆に「幸せである」と感じる理由の中で最も多いのは「家族との関係(41.1%)」であり、次いで「感謝されている・愛されていると感じる(41.0%)」という結果も、家庭の重要性を再認識させられます。経済的な不安定さがあっても、愛情に満ちた関係が日本人にとっての幸せを感じる一因であることは興味深い点です。
日本の生活の質、現状と未来への期待
続いて生活の質に関するデータでも、日本は30か国中最下位という厳しい結果が出ました。「現在の生活の質がとても高い」と思っている人も「5年後には生活が良くなっている」と思う人も、日本ではどちらも最も低い数値を獲得しており、日本人の未来に対する期待感が著しく低いことが示されています。疲れやストレスを抱える日本社会において、心の豊かさが求められます。
幸福度に対する日本の位置づけ
「幸せである」と答えた日本人は60%にとどまり、30か国中で27番目と低いレベルです。昨年の調査からは微増したものの、全体的な変化には乏しい様子です。この結果は、経済的な状況が幸福感にどれだけ影響を及ぼしているかを物語っています。
より良い未来に向けて
イプソス株式会社の内田社長は、「日本人の幸福感は30か国平均を下回っており、経済的な状況が大きな要因である」と述べています。また、家族や地域との結びつきの重要性にも焦点を当て、より豊かな人間関係の形成が幸福度向上に寄与する可能性を示唆しています。
今後もこの調査は継続され、どのような変化が見られるかに注目が集まります。日本人がどのように幸せを見出し、日常生活の質を向上させていくのか、その道筋が一層明らかになることを期待しましょう。さらに詳しい調査結果はイプソスのウェブサイトで公開されています。
調査の実施概要
調査方法はオンラインプラットフォームを通じて行われ、実施期間は2024年12月20日から2025年1月3日となっています。対象国は30か国にわたり、各年齢層からの応答が得られるよう設定されています。
イプソスは、今後も人々の幸福感を左右する要因に対する意識を観察し続け、社会が抱えるさまざまな問題に取り組みます。