賃上げと生活実態調査
2024-07-25 20:41:32

今年の賃上げ状況と生活に関する国民の実態調査結果

今年の賃上げ状況と生活に関する国民の実態調査結果



紀尾井町戦略研究所(KSI)が最新の調査結果を発表しました。この調査では、今年の春闘の賃上げに関する状況や、定額減税の影響、さらに生活に対する国民の不満を調査しています。調査は7月7日に行われ、全国の18歳以上の男女1,000人を対象にしています。

賃上げの実態



2023年の春闘による賃上げ実施状況についての調査が行われました。その結果、給与が増加した、または今後増加予定の人は30.9%となり、前回3月の調査から12.4ポイント上昇しました。これは1991年以来の高水準の賃上げ率が反映されていると言えるでしょう。特に、従業員1,000人以上の大企業では、約60%が賃上げを経験していることが際立っています。逆に、賃上げがなかった、もしくは賃金が減ったという回答は32.0%で、前回と比べ減少していますが、依然として数多くの国民が賃上げの恩恵を実感できていない状況です。

定額減税とその感想



今年の6月から実施された定額減税に関する調査結果では、54.1%もの人々が恩恵を「あまり感じなかった」と回答しています。これは、国民の多くが実際の減税額に基づく生活改善を実感できていない表れであり、今後の政策に対しての期待が低くなっています。さらに、給与明細で減税額を確認した人は47.2%であり、確認していない人も23.7%に達しています。これにより、政策の周知方法にも課題があることが分かります。

生活に対する不満



国民の現在の収入に対する不満を聞いたところ、最も多かったのは「インフレや物価上昇に対応できない」という39.1%の回答でした。次いで「生活や家族を養うには足りない」との声が25.0%を占めており、加えて「定期的な賃上げやボーナスがない」という不満も多く見受けられました。これらの結果から、依然として国民の多くが経済的に厳しい状況にあることが浮き彫りになっています。特に、円安に関しては59.2%が「デメリットの方が大きい」と感じており、国際的な経済情勢が個人の生活に与える影響が大きいことを示しています。

消費支出への影響



政府が猛暑対策で8月から10月に実施する電気・ガス代の補助に関しても、57.9%が「不十分」と感じているという結果が出ています。特に医療・福祉関係者の多くがこの認識を持っており、補助内容に対する不満が続出している模様です。さらに、調査では49.4%が11月以降も補助するべきだと考えています。

投資への意識



新NISAなどへの投資未実施者は58.6%に達し、多くの国民が投資に対して積極的でないことが示されました。この傾向は特に低所得層に顕著ですが、高年収層では投資が進んでいることから、収入に応じた意識の差が見られます。

未来の収入への期待



今後5年後の自身の収入に関して、変わらないと思う人が36.8%、減るまたはなくなると思う人が27.1%と、楽観的とは言えない結果が示されています。「物価と賃金の好循環が続かない」と考える人も多く、55.2%に上ります。これにより、経済政策が今後どのように変化していくのか注目されます。

この調査結果は、国民の生活実態や期待に直結しており、今後の政策に対する貴重な指標となるでしょう。特に、賃上げの実績が一部の大企業や高年収層に偏っているため、より広範な層への影響が求められています。


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会社情報

会社名
紀尾井町戦略研究所株式会社
住所
東京都千代田区二番町9-3 THE HUB 麹町
電話番号

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