石破首相、G20リオデジャネイロ・サミット出席:日伯友好関係の新たな発展へ
石破首相、G20リオデジャネイロサミットで日伯友好関係強化を誓う
2025年11月17日、石破首相はG20リオデジャネイロ・サミットに出席し、ブラジル政府関係者や国民へ祝意を述べました。サミットでは、飢餓・貧困との闘い、持続可能な開発、グローバル・ガバナンス機構改革が主要議題として取り上げられ、ブラジルのリーダーシップが称賛されました。
石破首相は、今年2度目となるブラジル訪問について、昨年広島サミットでのルーラ大統領訪日を踏まえ、日伯間の首脳交流が活発化していると強調しました。自身のブラジルとの関わりは1988年の日本人ブラジル移民80周年記念式典への参加に遡り、総理として再訪できたことを喜びとしました。
具体的な協力内容
1. 飢餓・貧困対策
日伯両国は長年にわたり飢餓・貧困対策に取り組んできました。1979年から続く「日・ブラジル・セラード農業開発協力事業(PRODECER)」では、34.5万ヘクタールの土壌改良を行い、ブラジルを世界最大の大豆生産国へと押し上げ、世界の食料安定化に貢献しました。
2. 環境・気候変動対策
日本は今年3月、アジア初のアマゾン基金への拠出を行いました。また、JAXAの衛星とAI技術を用いてアマゾン熱帯雨林の違法伐採対策への協力を進めています。両国は20年以上前から「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合の共同議長を務め、気候変動問題をリードしてきました。
持続可能な世界の実現に向け、多様な技術やエネルギー源を活用する多様な道筋でネット・ゼロを目指す重要性を強調。特に、低炭素化技術を持つ日本とクリーンエネルギーミックスを誇るブラジルは、「持続可能な燃料とモビリティのためのイニシアティブ」を通じて世界のカーボンニュートラル実現に貢献するとしています。
さらに、今年5月には「日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ」を立ち上げ、劣化牧野の畑地転換などを通じた協力体制を強化しました。日系移民の貢献にも触れ、トメアス式アグロフォレストリーなど、持続可能な土地利用と生物多様性保全への協力を継続していくことを表明しました。
3. 防災協力
リオ・グランデ・ド・スール州の豪雨被害に対し、日本は緊急援助物資を供与しました。両国共通の課題である防災分野では、土石流対策構造物に関する技術協力を実施し、災害対応能力の強化を図っています。
4. 国際協調
国際情勢については、国際法遵守の重要性を強調。ウクライナ侵略や中東情勢の悪化への懸念を表明し、国際社会との協力による平和実現への取り組みを示しました。力による一方的な現状変更の試みは許容せず、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化を訴えました。
国連改革についても、G4メンバーとしてブラジルと緊密に連携していく考えを示し、安保理改革の必要性を訴えました。
未来への展望
来年は日ブラジル外交関係樹立130周年という節目を迎え、「日本ブラジル友好交流年」と位置付け、文化、観光、スポーツなど幅広い分野での協力を促進する予定。短期滞在査証免除を契機に増加した訪日ブラジル人の更なる増加に期待を示し、新たな協力関係の構築を目指すことを表明しました。
石破首相は、今回のサミットと友好交流年を日伯関係の新たな章の幕開けと位置づけ、両国関係の更なる強化に尽力していくと締めくくりました。