ナノテクノロジーで切り開く日本の未来
2022年1月、東京ビッグサイトで行われた「nano tech 2022 第21回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」では、地球規模の課題解決に向けたナノテクノロジーの重要性が改めて認識されました。急激な気候変動や環境問題が深刻化する現在、ナノテクノロジーは日本経済の再興と持続可能な社会の実現に貢献する切り札とされているのです。
進化するナノテクノロジー
今回の展示の中心的なテーマは、環境に配慮した新たなエネルギーソリューションです。特に次世代バッテリーや生分解性プラスチックは、地球温暖化への対策として注目を集めていました。例えば、ナノテクエナジーが発表した不燃性グラフェンを用いたリチウムイオン電池は、高い安全性を持ちながらもコストが従来通りで、全天候型での利用が可能となります。このような革新的な技術は、今後の電動車両普及にも寄与するでしょう。
さらに、イデア・インターナショナルが開発したリチウムイオン内包フラーレンは、長寿命太陽電池やスーパーキャパシタへの応用が期待されています。また、AZUL Energyは貴金属を使わない燃料電池の開発に取り組むなど、各社が新たな価値を提供するために必死になっています。
デジタルトランスフォーメーションとナノテクノロジー
会場では、AI・データを駆使したマテリアルズ・インフォマティクスが特に注目を集めました。これにより、従来数か月かかる物理シミュレーションが数秒で行えるようになり、素材開発が飛躍的に加速されています。例えば、富岳を使用した理化学研究所の取り組みでは、全固体電池の開発が進められています。ここでは、機械学習を活用して構造探索を効率化し、安全性・性能を兼ね備えた電池の実現を目指しています。
シンポジウムでの知見の共有
nano techでは、特別シンポジウムも開催され、リチウムイオン全固体電池や次世代蓄電池に関する知見の共有が行われました。これらの取り組みは、エネルギー問題に対する解決策を提供するものであり、各企業の連携も進んでいます。特に関心が寄せられたのは、カーボンニュートラルの実現に向けたナノテクノロジーの役割です。
地球に優しい新素材
日清紡ホールディングスが発表した海洋生物由来の生分解性プラスチックは、特に注目すべきです。この素材は、環境中で分解されることで、持続可能な未来への一歩となるでしょう。また、横河バイオフロンティアが 開発した100%植物由来の硫酸エステル化セルロースナノファイバー(S-CNF)も、効果的に物流コストを抑えることができる新しい素材として期待されています。
未来への展望
今年のナノテクノロジー総合展は、革新的な製品と知見が集い、参加者に貴重な学びを提供しました。ナノテクノロジーがもたらす未来への影響は計り知れず、持続可能な活動が求められる現代において、今後も注視されるべき分野です。各企業の技術開発が進む中、私たちはこれからも変化を見届け、期待を寄せていきたいと思います。
詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください:
nano tech 2022 公式サイト