ファンケル、摘出皮膚の4Dイメージングに成功!肌の奥深くを観察し、新たな製品開発へ
株式会社ファンケルは、摘出皮膚の長期培養技術と、その技術を活用した4Dイメージングに成功しました。この技術は、北里大学医学部との共同研究、そしてシンクランド株式会社からの協力によって実現しました。
4Dイメージングとは、摘出皮膚の立体的な構造を時間軸で観察する技術です。従来の技術では、組織を固定する必要があり、静止画のみの観察しかできませんでしたが、今回の技術革新により、皮膚内部で起こる様々な現象を動的に観察することが可能になりました。
マイクロニードルを用いた培養方法で、摘出皮膚の状態を維持
ファンケルは、摘出皮膚の長期培養方法として、マイクロニードルを用いた新しい技術を開発しました。マイクロニードルとは、直径がミクロンレベルの極細の針です。従来の培養方法は、皮膚の深部から培地を吸い上げる方法でしたが、この方法では、皮膚内部に栄養が十分に届かず、壊死してしまうという課題がありました。そこで、マイクロニードルを用いて、皮膚内部に直接栄養を届けることで、摘出時の状態を保ちながら長期培養することが可能になりました。
4Dイメージングで、肌の奥底の変化を明らかに
開発された4Dイメージング技術では、細胞内の核、細胞膜、ミトコンドリアなどを染色し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行いました。その結果、表皮細胞、真皮細胞、血管を構成する細胞などの動きを詳細に観察することに成功しました。さらに、細胞内のミトコンドリアの様子も観察され、細胞が生存している状態での動的な変化が捉えられました。
肌の不調の原因解明と新製品開発に期待
今回の成果は、皮膚における様々な不調のメカニズム解明に役立ちます。例えば、加齢による肌の弾力低下やシワの発生、乾燥や炎症など、様々な肌の不調の原因を細胞レベルで解明することで、より効果的な製品開発につながることが期待されます。
研究背景と今後の展望
ファンケルは、これまでにも摘出皮膚の内部を立体的に観察する技術を開発し、弾性線維の加齢変化やチオレドキシンによる弾性線維への影響について研究を行ってきました。しかし、これらの技術では、組織固定が必要なため、静止画のみの観察しかできませんでした。
そこで、今回の研究では、摘出皮膚をより生体に近い状態に維持し、経時観察を可能にすることを目的として、マイクロニードルを用いた培養方法と4Dイメージング技術を開発しました。
ファンケルの研究への想い
ファンケルの研究者は、皮膚内部で起こる様々な現象を直接観察することで、より深いエイジング研究を進め、多くの方の肌悩みの解決に貢献したいと考えています。今回の成果は、その目標に向けた大きな一歩と言えるでしょう。
今後の展開
ファンケルは、今回の技術を活かし、様々な肌の不調の原因解明と新製品開発を進めていきます。また、大学や研究機関との連携を強化し、皮膚科学研究の発展に貢献していくことを目指しています。