ウェアラブルで気分予測
2025-12-22 09:26:42

ウェアラブルデバイスが双極性障害の気分変化を予測する可能性を示す研究

ウェアラブルデバイスによる双極性障害の気分エピソード予測



株式会社テックドクター(代表取締役:湊 和修、本社:東京都中央区)は、近年双極性障害の気分変動予測に関する画期的な研究成果を発表しました。この研究は、ウェアラブルデバイスを通じて収集された心拍変動(HRV)と睡眠データが、双極性障害の気分エピソード予測において有用な指標となる可能性を示しています。

研究の背景



双極性障害は、躁状態と抑うつ状態が交互に現れることが特徴の慢性的な精神疾患です。この障害に苦しむ患者は、気分エピソードが突然訪れることが多く、そのために日常生活や社会生活に大きな影響を受けると言われています。そのため、早期の介入やエピソードの予測は、治療において非常に重要な課題です。

従来の方法では、気分の状態評価が問診や自己申告に依存していましたが、これには主観的なバイアスや記憶に基づく限界があります。そこで、ウェアラブルデバイスを活用した客観的な生理指標を用いることが注目されるようになりました。

研究概要



この症例研究は、双極性障害と診断された40代男性を対象に、約8ヶ月間にわたってデータを収集しました。収集したデータは以下の通りです:
  • - ウェアラブルデバイス(Google Fitbit Charge6)からの心拍数、睡眠、活動量
  • - eMoodsアプリによる日々の気分状態評価(抑うつ気分、気分高揚、易刺激性、不安)

このデータをもとに、気分エピソードが現れる前に見られる生理的変化についての関係性を検証しました。

研究結果



解析の結果、以下の重要な関連性が確認されました。

1. 夜間RMSSDの低下と抑うつ症状の関係
夜間の心拍変動(RMSSD)が個人のベースラインから1.5標準偏差以上低下した場合、約87%の確率で翌7日以内に抑うつスコアが悪化することが分かりました。

2. 睡眠時間の短縮と気分高揚の関係
睡眠時間が短くなるにつれて、気分高揚のスコアが上昇する傾向が observed され、十分な睡眠が気分の安定に寄与する可能性があることが示唆されました。

3. 日中のHRVや活動量には気分との明確な関連は見られなかった
データ分析結果からは、日中の心拍変動や活動量が気分に直接的な影響を与えないことが示されました。

意義と今後の展望



この研究は、トラッキングのための手軽な手段として普及している市販のウェアラブルデバイスとスマートフォンアプリを組み合わせており、日常の生活の中における生理データの収集がもたらす新しい可能性を示しています。特に夜間の心拍変動の変化は、自己申告では気づきにくいエピソードの前兆を捉える手掛かりとなり得ると言えます。

今後は、より多くの症例を対象にした研究や予測モデルの構築を行うことで、臨床への応用をさらに広げていくことが期待されます。テックドクターは、このようなデータを通じて、精神疾患の客観的評価手法の確立と医療分野全体の発展に貢献することを目指しています。

論文詳細



テックドクターは、データドリブンな医療実現を目指し、健康を改善するための新しい手法を探求しています。


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会社情報

会社名
株式会社テックドクター
住所
東京都中央区京橋二丁目2番1号京橋エドグラン 4F
電話番号

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