2025年カスタマーサクセス市場の現状と経営層の意識変化
2025年に向けてバーチャレクス・コンサルティングが実施した「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」では、経営層の意識とカスタマーサクセスに関する詳細なデータが得られました。本調査の第八弾では、カスタマーサクセスに取り組む企業の経営層121名を対象に、様々な角度からの分析を行っています。
この調査は、経営層がカスタマーサクセスにどのように取り組んでいるのか、またその取り組みがどのような影響を企業に与えているのかを明らかにすることを目的としています。特に、投資意向、直面している課題、取り組みの方向性、実感している成果についての詳細が触れられています。
経営層の投資意向とカスタマーサクセスへの取り組み
調査の中で最も注目される結果は、カスタマーサクセスへの投資意向です。約40%の企業が「予算を増額する」と回答し、その中でも「大幅に増額する」との意見も19.8%に達しています。特に、サブスクリプション型ビジネスを展開する企業ではこの割合が顕著で、約半数が予算の増額を表明しています。しかし、非サブスクリプション型企業では慎重な姿勢が見られる結果となっています。
また、従業員規模によっても意見が異なり、特に小規模企業では予算を未設定のところが見受けられました。逆に、大企業では投資に対するポジティブな意向が明確に示されており、経営層の間での投資判断に対する傾向が見られます。
経営層から見た課題
経営層がカスタマーサクセスを推進する中で、約62.8%の企業が「特にない」と回答した一方、38%は何らかの課題を抱えています。その中でも最も多かったのが「経営層の理解が得られない」という問題であり、これはカスタマーサクセスを導入する上で根本的な障壁となっています。組織内での合意形成が難しいと感じる経営層が多く、企業文化や意思決定プロセスへの働きかけが求められています。
カスタマーサクセスの強化意向
調査により、なんと80.2%の経営層が「今後さらに強化したい」と回答していることが明らかになりました。これは、顧客との長期的な関係を築き、顧客満足度を向上させたいと感じている企業が多いことを示しています。
特に、サブスクリプション型商材を扱う企業の経営層は84.1%が強化を希望しており、非サブスクリプション型とも15ポイントの差があります。これは、サブスクビジネスにおいてカスタマーサクセスの重要性をより強く認識していることを示しています。
成果の評価
また、経営層の58.7%はカスタマーサクセスの取り組みによる成果を実感していると答えています。しかし、28.9%は「どちらとも言えない」とし、まだ多くの企業が成果の可視化に課題を抱えていることがうかがえます。特に初期段階の企業では、果たして自社の取り組みが正しいのかどうか不安が残る部分も多くあり、結果として投資判断を難しくさせています。
企業の戦略としての位置付け
今回の調査を通じて、カスタマーサクセスの重要性が多くの経営層に認識されていることが期待できます。しかし、まだまだ内部での課題、特に経営層の理解や組織的な支持を得られないことが導入の障害になっています。
今後は、経営層がリーダーシップを持ち、全社的な意識改革を推進するとともに、カスタマーサクセスを企業成長戦略の中核として位置づけることが必要です。この鍵を握るのは、明確な運用の仕組みや評価基準の確立であり、そのことが企業の成長に大きく寄与することが期待されます。
この調査は、今後もさらなる詳細な分析を行う予定です。各回ごとにカスタマーサクセスの実現に向けた実態と動向を掘り下げていくことで、日本企業における今後の展望を提示していくことを目指しています。