ELISAプロジェクトとは
2019年2月21日、サンフランシスコに本拠地を置くThe Linux Foundationが、セーフティクリティカルなシステムにおけるLinuxの使用を促進するためのオープンソースプロジェクト「Enabling Linux in Safety Applications(ELISA)」を立ち上げました。ELISAプロジェクトは、企業がLinuxを基にした安全なアプリケーションやシステムを効果的に構築し、認証を容易にするための共通ツールやプロセスの開発を目指しています。
セーフティクリティカルシステムの重要性
セーフティクリティカルなシステムでは、不具合が発生すると人命の危険や重大な物的損害、環境に対する影響を引き起こす可能性があります。そのため、Linuxによる安全なシステムの開発は特に重要です。ELISAプロジェクトは、既存のSIL2LinuxMPやReal-Time Linuxプロジェクトの成果を活用し、医療、輸送、自動運転、ロボット技術など幅広い分野でのLinuxの適用を促進します。プロジェクトの創設メンバーには、Arm、BMW Car IT、KUKA、Linutronix、トヨタ自動車などが名を連ねています。
ELISAによる安全性の確保
ELISAプロジェクトは、Linuxベースのシステムが安全性の基準を満たしていることを証明するための指針を提供します。企業が自社のソフトウェアが信頼性や品質保証、開発プロセスの厳しい要求に適合しているかを示すためには、明確に規定された方法論が必要ですが、現状ではそのような明確な基準が欠如しています。Linux FoundationのKate Stewartシニアディレクターは、エネルギーや自動車、医療などの業界がLinuxを利用したいと考えている背景には、製品の市場導入を早める利点があると語っています。
プロジェクトの目標
ELISAの取り組みでは、次のような具体的な目標が掲げられています。
- - リファレンスドキュメントやユースケースの開発
- - セーフティ関連のベストプラクティスをオープンソースコミュニティに教育
- - フィードバックを基にプロセスや品質評価の改善
- - クリティカルコンポーネントのインシデント監視とベストプラクティスの確立
これにより、ELISAプロジェクトは、Linuxを用いたセーフティクリティカルなシステムの信頼性を確保し、市場でのニーズに応えていくことを目指しています。
企業の期待と反応
多くの企業がこのELISAプロジェクトに期待を寄せており、安全なプログラマブルデバイスの普及をサポートする見込みです。UL社のTom Blewitt VPは、ELISAの立ち上げによって、Linuxコンポーネントの評価と検証が迅速に行えるようになると語りました。また、KUKAのDavid Fuller CTOは、Linuxベースの安全システムを認証するためのプロセスの定義に期待を寄せています。
今後の展望
ELISAプロジェクトは、さまざまな業界の認証機関や標準化団体と連携し、Linuxの安全性を確立するための方法論を構築し続ける計画です。オープンソースの思想を取り入れつつ、企業が安全なシステムを構築できるよう、活動を進めていくでしょう。
ELISAプロジェクトの詳細については、
公式サイトで確認できます。