国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が日本政府を審査するのは、実に8年ぶりです。この重要なイベントに向けて、国際協力NGO・ジョイセフおよび6つの団体が手を組み、日本における性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の問題について市民社会レポートを提出しました。これに伴い、国内においてSRHRの重要性を広めるための各種イベントが開催されます。
2024年10月、ジュネーブで行われる第89回CEDAW審査では、日本政府が報告書を提出しますが、同時に市民社会からも「シャドウレポート」が求められます。これにより、市民の視点から日本社会におけるジェンダー不平等や女性差別の実態が明らかにされることを目指しています。国連はこうした市民社会レポートを資料として活用し、審査において有益な情報源とすることを歓迎しています。
SRHR市民社会レポートでは、特に日本の女性の身体の自己決定権や、性的少数者を含む多様な人々が直面する課題が報告されています。具体的には以下の6つの問題が提起されています:
1. 優生保護法に基づく強制不妊手術の被害者への救済
2. 包括的性教育の公教育への導入
3. 堕胎罪撤廃と母体保護法の改正
4. 安全な中絶及び避妊法へのアクセス
5. 性的指向及び性自認に基づく差別禁止法の制定と、トランスジェンダーのSRHRに関する問題
6. 同性婚を含む婚姻の平等に向けた法制化
審査に向けた一連のイベントでは、これらのテーマに基づいて専門家や関係者によるトークが行われます。特に、9月14日、17日、19日、21日に開催されるライブイベントでは、各テーマに関連するスピーカーが登壇し、参加者に深い知識と理解を提供します。
また、9月24日には合同記者会見を行い、選択的夫婦別姓などについての改善勧告を求める意義について説明します。オンラインイベントやハイブリッド開催を通じて、全国各地から参加できる体制も整えています。
国際女性の地位協会やLGBT関連の団体など、多彩な団体が共同で行うこのイニシアチブは、政府の動きに対する市民の声を強くするための重要な機会です。日本におけるジェンダー平等の実現は、国際基準に照らし合わせて明確に遅れが見えるため、これらの取り組みが求められています。
今回のSRHR市民社会レポートは、これからの審査において日本政府が直面する課題や国際的な基準に対する遅れを浮き彫りにし、さらには女性差別撤廃に向けた具体的な勧告の採用を促進することを目指しています。市民として、自らの意見を持ち寄り、共に行動することが、未来のジェンダー平等を築く第一歩につながると言えるでしょう。イベントへの参加や情報発信にぜひ協力をお願いいたします。