富士フイルムが革新技術を導入
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社が、国内初となる印刷オペレーションの自動化ソリューション「Revoria Kamisa PH12」を発表しました。この新型ロボットシステムは、印刷製造工程における用紙断裁以前の「紙さばき」作業を自動化し、印刷会社に革命的な効率化をもたらすことを目指しています。
自動化の背景
印刷業界では、印刷後から用紙断裁までの間に必要な作業が多く存在しており、中でも重量のある刷本の「紙さばき」工程は重要です。この作業は、静電気やインクの影響で用紙同士が貼り付かないように、風を送り込む作業が必要です。そのため、オペレーターの熟練した技術が要求され、同時に身体的な負担も大きいのが現状でした。
そこに目を付けた富士フイルムは、紙さばき作業を自動化することで、印刷業務の生産性向上を目指し、「Revoria Kamisa PH12」を開発しました。この技術導入により、オペレーターの身体的負担を軽減し、技能に依存せず、安定した印刷品質を確保することが期待されています。
「Revoria Kamisa PH12」の特徴
「Revoria Kamisa PH12」は、複雑な動きを自律制御するロボットアームと、紙種やサイズに応じてつかむ力を調整可能なロボットハンドから構成されています。さらに、周辺機器と連携することで、昇降機上の刷本をロボットがつかみ、直接紙揃え機へ運ぶことが可能です。
ロボットアーム
- - 双腕協調動作: ロボットのコントローラが、左右のアームの動作を協調して制御します。大判用紙も確実に扱えるため、次の工程への移動がスムーズです。
- - 多関節型の動き: 6軸の垂直多関節型アームを採用することで、微細な動きが可能です。プログラミングによって、曲げ伸ばしや回転も自在に行えます。
- - 安全性の確保: ISOとJISの安全性規格を取得しており、各種安全センサーとの連動が可能です。
ロボットハンド
- - 高精度制御: サーボモーターによる力のコントロールが可能で、さまざまな紙種やサイズに適したつかみ方ができます。
- - 除電機能: 先端にはイオナイザーが搭載されており、用紙間に静電気を除去する風を放出します。
- - 3Dセンサー搭載: 用紙の表面の凹凸を読み取り、正確に用紙をつかむ精度を向上させます。
市場展開
「Revoria Kamisa PH12」は、まず2025年7月1日に発売予定です。また、将来的には欧州、北米、アジアパシフィック地域への展開も期待されています。この新型ロボットシステムによって、印刷業界は大きな変革を迎えることでしょう。
富士フイルムの理念
富士フイルムは1962年の創業以来、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた知識と情報の効果的な利活用を支援してきました。印刷機器における研究・開発・生産・販売を行い、業務のアウトソーシングサービスを通じて、世界中のビジネスを革新することを目指しています。
今後も、富士フイルムによる印刷業界の進化から目が離せません。