考古学情報基盤
2022-02-25 15:50:36
新たな考古学情報基盤がつなぐ 日本と欧州の文化遺産の未来
ヨーロッパと日本を結ぶ考古学情報基盤、ARIADNE Plusの始動
考古学の情報共有を目的とした新たなシステム、ARIADNE Plusが始まりました。このプロジェクトは、21世紀における考古学情報の国際的な連携を推進するため、EUを含む多くの国々が参加しています。特に、日本は2017年からの協議を経て、正式に参画することとなりました。これは、文化遺産の情報をより多くの人々に届ける画期的な取り組みです。
ARIADNEとは何か?
ARIADNEは、2013年から2017年にかけて実施されたプロジェクトで、入手が難しい文化財に関するデータをオンラインで引き出せるようにすることを目指していました。この取り組みにより、約200万件のデータセットがまとめられています。これを受け継ぐARIADNE Plusは、2019年1月から2022年12月までの期間に、新たな文化遺産データの集約と検索機能の強化に取り組んでいます。
日本の遺跡データの連携
日本の遺跡データは、138654件に上る情報がARIADNE Portalに連携され、ユーザーは「時間」「空間」「モノ」といったキーワードで検索できるようになりました。これにより、ユーザーは日本と海外の遺跡を統合的に調査できるようになります。
このデータの利用は無償で、誰でも簡単にアクセスすることができ、市民や研究者にとって大きな利点です。特に、日本は豊富な考古学的データを蓄積しているにも関わらず、情報アクセスには高いハードルがありました。このプロジェクトによって、それらの情報がより簡単に検索可能になるのです。
日英対訳システムの導入
言語の壁を解消するため、日英対訳が重要な役割を果たします。奈良文化財研究所では、文化財関連の用語集を整備しており、それを活用することで国際的な交流を深めています。例えば、「Nara」という検索ワードで、豊富な情報を瞬時に引き出すことができます。これにより、海外の研究者や文化遺産愛好者が、日本の考古学的遺産にアクセスしやすくなります。
期待される未来
ARIADNE Plusは単なるデータ共有の枠を超え、考古学研究コミュニティの構築にも寄与しています。国際的なネットワークを通じて、様々な国の研究成果や最新情報が連携され、これまで以上に豊かな知識の交流が行われることが期待されています。これにより、考古学研究が新たなフェーズへと進化し、文化遺産の保存と利用がより一層浸透していくでしょう。
この新たなシステムによって、考古学に関心を持つすべての人々が、全球的な文化遺産に触れ、その理解を深める機会が提供されることになります。日本の歴史や文化が国際舞台でどのように評価され、利用されるか、その未来に期待が膨らみます。
さらに、ARIADNE Plusは、地域での考古学的な価値の再発見や、観光資源としての活用にも貢献することでしょう。今後、このプラットフォームが日本の遺跡と文化財情報の重要な中枢として機能し多くの人々に愛され続けることを願ってやみません。
会社情報
- 会社名
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独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
- 住所
- 奈良県奈良市二条町2-9-1
- 電話番号
-
0742-30-6733