輪島市で移動図書館の寄贈式が実施される
2025年12月16日、石川県輪島市において、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が移動図書館車両を輪島市図書館に寄贈しました。この寄贈は、令和6年能登半島地震の被災地復興支援の一環として行われました。式典では、同会の会長、若林恭英氏から、小川正輪島市教育長に目録が渡されました。
寄贈の背景
この移動図書館の設立は、2024年の地震や水害によって地域の読書や交流の機会が減少していることに起因しています。特に仮設住宅での生活者たちは、交流の場が少なく、孤立感を抱えているという現実があります。移動図書館は、単なる書籍の貸出に留まらず、人々が自然に集い、コミュニケーションを取る機会を提供する重要な役割を果たします。
若林会長の挨拶
式典では、若林会長が「この移動図書館車両が、市民の心に活力を与えることを願います」と述べ、利用者の感想として「本が向こうから来てくれる」という声を紹介しました。特に、移動図書館は「お茶飲み場」としての機能もあり、交流や談笑の場となることで、地域の人々の心の支えになっていると強調しました。
具体的な活動状況
シャンティ国際ボランティア会は、震災後以来、輪島市門前町で多様な支援活動を展開しています。移動図書館活動は、輪島市図書館との連携により、仮設住宅や公民館を巡回してきました。2025年11月末時点での活動回数は186回、累計1,475人が利用、貸出冊数は2,099冊に達しています。
金沢美術工芸大学とのコラボレーション
移動図書館のデザインは、金沢美術工芸大学の2年生、山﨑ゆめさんが手掛けました。彼女は、輪島市の空と海をイメージし、トキの朱色を取り入れることで地域を象徴する親しみやすいデザインを実現しました。これは、移動図書館が人々に笑顔と交流をもたらすことを期待するというメッセージが込められています。
今後の展望
今後、輪島市図書館とさらに連携を深め、地域のニーズに応じた運行方法を模索しながら、読書と交流の機会を持続的に提供するための体制を強化していく予定です。この移動図書館車両が地域の皆が利用しやすい存在となり、日常生活の中で活用されることを期待しています。
このように、移動図書館はさまざまな世代の心の支えとなる存在であり、地域の復興に向けた重要な一歩です。シャンティ国際ボランティア会は、引き続き地域の支援を続けていくと述べています。