2024年度社労士実態調査成果と課題
全国社会保険労務士会連合会(会長:大野実得)は、2024年度の社労士実態調査結果を発表しました。この調査は開業社労士から勤務社労士まで幅広く関与し、全国の社労士45,401人を対象に行われました。調査期間は2024年4月24日から6月9日まで。今回の有効回収数は25,408件で、有効回収率は56.0%という結果です。
調査の概要
調査結果からは、社労士の参与する業務が多岐にわたることが明確になりました。大企業から小規模事業者まで、様々な経営規模において社労士が必要とされています。特に開業社労士の活動が際立っており、これまでの調査と比較しても、その業務内容や経済的な側面が興味深い数値で示されています。
開業社労士の現状
開業社労士の事務所の平均売上は約1,658万円で、実に5割強が1人で事務所を運営しています。また、事務所あたりの平均顧問契約社数は33.2社にのぼり、顧客からの信頼を強く得ている様子がうかがえます。
開業時の年齢が若い社労士は、その後の売上や顧問契約数が順調に伸びる傾向があります。具体的に、開業時年齢による事業拡大のイメージがデータとして示されています。特に30代での開業者は活動の幅が広く、顧問契約を増やす可能性が高まります。
売上の構成と動向
売上の中心は顧問契約ですが、手続き業務が主体であり、多くの社労士が人事・労務管理に関する制度設計や相談業務を幅広く展開しています。手続業務の受託割合は41.5%であり、過去5年で見ると相談業務や規程作成の需要が増加していることが確認されています。この背景には、企業の労務管理の重要性が高まっていることが影響していると考えられます。
勤務社労士の状況
一方で、勤務社労士は一般企業の人事総務部門で専門性を発揮し、大企業において活躍しています。特に人事部門での社労士の業務は、企業にとって必要不可欠な役割を果たすものであり、各社の状況に応じた適切なアドバイスが期待されています。
今後の展望
本調査は、社労士制度や業務の持続可能性を考察するために実施されました。調査結果を基に、どのように社労士制度が進化し、それに応じて社労士がどのような役割を担うのか、今後の展開が注目されます。特に、社労士法の制定から56年が経過し、社会環境や経済状況が急激に変化する中で、社労士に対する期待やニーズが増していることは重要なポイントです。
全体として、社労士の信任度は高まり続けており、今後も信頼される制度として発展することが求められます。全国社会保険労務士会連合会は、これからも持続可能な制度の構築に向け、社労士がその使命を果たし続けるための活動を進めていく方針です。今後は、5年ごとの定期調査を通じて、社労士制度の在り方をさらに深く考察し、持続的な発展を目指していくことが期待されます。