株式会社博報堂が実施した「生活者のサステナブル購買行動調査2024」によると、SDGsへの認知が減少している一方で、社会的な行動への実践度が過去最高を記録しました。この調査は、全国の16歳から79歳の男女5,158人を対象に行われ、2024年2月26日から27日にかけて実施されています。調査結果では、SDGsについての内容を知っていると答えた人は51.7%と、昨年よりも4ポイント減少しています。特に、10代と70代の層でSDGsに対する関心や認知が高い傾向にありますが、10代の若者の過半数が“エコ疲れ”を感じていることもわかりました。
この調査は、サステナブルな購買行動の実態を理解するために重要な視点を提供しています。まず、社会購買実践度は5.12点と昨年の5.15点から微減したものの、社会行動実践度は5.28点に上昇し、こちらは過去最高を記録しています。これは、物価高による生活の厳しさから、買い物を通じた行動よりも日常生活の中での意識が高まっていることを反映しているのではないかと考えられます。
また、調査では「環境や社会のために寄付される商品を購入する」傾向があり、特に10代から20代においてはこの意識が高まっています。実際に、10代の約50%が環境に配慮した商品を選んでいるとの結果も挙げられています。しかしながら、高い意識を持ちつつも、エコ活動に疲れてしまう「エコ疲れ」に悩む層が多いという点が、今後の課題として浮き彫りになりました。
年代別のSDGsの認知率を見てみると、最も高いのは10代で74.4%と非常に高い数値を示していますが、この中で内容を理解している人は3割近くに上ります。また、70代は知名率が87.3%となり、年齢層によって関心の高いテーマが異なることも示唆されています。
調査の一環として、SDGsの17の目標への関心を調査したところ、「海の豊かさを守ろう」が61.2%で最も関心が高い結果となりました。次いで「健康と福祉」や「クリーンエネルギー」への関心も高まっています。
今後、博報堂ではこのような社会的な課題解決を目指し、サステナブルなビジネスモデルを提案していくことが特に重視されます。生活者の意識や行動の変化を把握しながら、企業のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を支援するため、さまざまな取り組みを進めていく計画です。博報堂SXプロフェッショナルズは、2024年度のスタートとともに、サステナブルな選択肢を広げるための活動を加速することを宣言しています。
この調査結果は、今後の政策やマーケティング戦略に影響を与える要素とも言えるでしょう。社会的責任を持った購買行動がどのように広がっていくのか、今後の動向に注目です。