「まわりめぐるプロジェクト」始動
岐阜県高山市は、その広大な面積と豊かな自然環境で知られています。実はこの地域、日本酒造りが盛んな土地であり、清流宮川の澄んだ水と寒冷な気候が酒造りに絶好の条件を提供しています。そこで120年以上の歴史を持つ「平田酒造場」が、今、新たに「まわりめぐるプロジェクト」を立ち上げました。これは、日本酒造りと循環型農業を融合させた革新的な取り組みです。
地元農家との出会い
このプロジェクトの芽は、地元の農家、橋本農園の橋本さんとの会話から生まれました。橋本農園は25年以上、化学肥料を使わない有機農業を実践していますが、最近はコスト高の問題に直面しています。一方で、平田酒造場は酒造りにおける酒粕の有効利用を常に模索していました。この二つのアプローチが結びつくことで、持続可能な農業の形が見えてきたのです。
循環する恵み
「まわりめぐる」日本酒は、橋本農園が育てた化学肥料不使用のコシヒカリを基にしています。まず、平田酒造場がこのお米を使用して日本酒を造ります。この製過程で生じた純粋な酒粕を、再び土壌に堆肥として還すことで、次年度の作物生産に繋がるのです。これにより、一連のサイクルが生まれ、高山特有の美味しい酒と米が生み出されていきます。
職人のこだわり
平田酒造場の日本酒造りにおいては、米の磨き方に独自の工夫が施されています。通常、精米歩合を90%に抑え、お米の風味をそのまま楽しむスタイルです。こうした方法は繊細で、発酵工程において多くの試行錯誤が必要です。杜氏は毎日酒造りに向き合い、化学肥料を使わない農家の思いに応えるため、本当に美味しい酒の創造に情熱を注ぎます。
クラウドファンディングと地域へのアプローチ
2023年8月1日から開始されたクラウドファンディングでは、この「まわりめぐる」日本酒の予約販売だけでなく、地域の循環型農業や高山市の魅力を体感できるイベントも企画されています。この取り組みを通じて、多くの人々が循環型農業の重要性を理解し、地域の特産を味わうきっかけとなることでしょう。
今後の展望
「まわりめぐるプロジェクト」は、日本酒造りだけでなく、その背後にある循環型農業の経験を共有する場を提供し、多くの人々の参加を誘致することを目指しています。毎年、酒粕と米、堆肥が互いに循環し合い、美味しい日本酒を提供していくことに注力します。また、このプロジェクトを通じて、高山の観光地としてだけでなく、地域の個性と魅力を広めることにも注力していきたいと考えています。
参加企業の紹介
- - 平田酒造場:明治時代から続く伝統ある酒蔵で、自然に寄り添った酒造りを行っています。職人の技と経験が光る、個性豊かな日本酒を提供。
公式サイト
- - 橋本農園:高山で25年以上、有機農業に従事。健康な土を育てることを重視し、素材に拘った野菜づくりを実践しています。
公式サイト
食べチョク
このように、「まわりめぐるプロジェクト」は、日本酒を通じた循環型農業の可能性を広げていく革新的な挑戦として存在感を増しています。